第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

洗浄

洗浄1

2023年6月30日(金) 09:00 〜 10:10 第3会場 (アネックスホール F205+F206)

座長:河野 太郎(宮崎大学)

09:10 〜 09:20

[3] ロボット手術器具の洗浄プロセスに関する開発ガイドライン

鎮西 清行1, 高階 雅紀2,3,4 (1.産業技術総合研究所, 2.大阪大学医学部附属病院 手術部, 3.大阪大学医学部附属病院 材料部, 4.大阪大学医学部附属病院 臨床工学部)

経済産業省と厚生労働省の共同事業である
「医療機器等開発ガイドライン」「次世代医療機器・再生医療等製品評価指標」の一つとして「,ロボット手術器具の洗浄プロセスに関する開発ガイドライン(手引き)」を公表した.同ガイドラインの概要について紹介する.ロボット手術機器は通常は洗浄して繰り返し使用できる.またワイヤ等の複雑な機構を有し分解することができない構造となっている.ロボット手術機器の製造販売業者は,医療機関で確実に実施可能かつ効果的な洗浄方法を提供し,必要な洗浄性能を有していることを確認しなければならない.同ガイドラインは,「規定した繰り返し利用回数の範囲内で洗浄と滅菌の品質が担保できることを,どのようにして示せば良いか」「多くの医療機関で実施可能な現実的な洗浄工程をどのように考えるか」「ISO規格と米国規格で異なる要求にどう対処したらよいか」といった事項の道しるべとなる文書である.すなわち,薬機法審査の要求事項や強制規格ではなく,開発上の参考文書である.同ガイドラインは,新規の基準や方法論を一切含んでいない.「医療現場における滅菌保証のガイドライン2021」, ISO 15883-5,ISO 17664を基本として,ロボット手術機器の洗浄に適用して開発・評価する際の留意事項を解説している.主なトピックとしては
-洗浄評価試験の条件設定,特に最悪条件の設定の考え方(例:ファミリー製品の選択,エネルギーデバイスの注意事項,熱水消毒工程の影響)
-ウォッシャーディスインフェクター(以下 WD)洗浄と用手洗浄(用手洗浄の位置付け, WD洗浄に対応するための試験評価,など)
- 取扱説明書に記載すべき事項(医療機関で混乱を起こさない洗浄工程手順の説明事項など)
同ガイドラインを活用して,ロボット支援手 術システムの開発に取り組む企業が増えるとともに,現場の働き方改革につながる明快な洗浄手順を開発されることを期待する.