第98回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

検査・呼吸機器

検査・呼吸機器

2023年6月30日(金) 10:20 〜 11:20 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:真茅 孝志(純真学園大学)

11:10 〜 11:20

[42] 食道内圧測定用バルーン挿入および測定シミュレータの作成について

宇佐見 直1, 則末 泰博2 (1.東京ベイ浦安市川医療センター 臨床工学室, 2.東京ベイ浦安市川医療センター 救急集中治療科)

【背景】
Covid-19患者の人工呼吸器管理において肺保護戦略における経肺圧測定が推奨されている.経肺圧の概念を理解するのは容易なことではなく,より理解を深めるためにシミュレータによる教育が有用である.
【目的】
今回,食道内圧測定用バルーン挿入からオクリュージョンテストと測定までを可能とした経肺圧測定用シミュレータを作成したので報告する.
【方法】
人体を模擬するために胸郭用にボックスを用意して胸郭コンプライアンス用にテスト肺を接続させた.ボックス内に呼吸関係として挿管チューブ,肺にはシリコンテスト肺,食道関係として食道をドレーンチューブ,胃をバックバルブマスク,心拍動を電池式モーターで再現した.自発呼吸再現のためにHR1101を用いて胸腔内を陰圧にすることによって自発呼吸を再現した.
【結果】
食道内圧測定用バルーンを胃内まで挿入した後,胃を圧迫することで食道内圧が陽圧に振れることを確認でき,胃内にあることが判断できた.この時自発呼吸でも強制換気でも気道内圧と同様に食道内圧が陽圧となる.次にバルーンを適切な位置に留置するため引いていく際には,胸腔内に入った際の圧力変化(自発呼吸の場合は陰圧に振れ,強制換気の場合は陽圧に振れる)を確認できた.最終的な留置位置では心拍動が最も大きく描出される位置を確認できた.また,胸郭を模擬したテスト肺を押すことでオクリュージョンテストを実行することができた.
【考察】
内部構造が可視化できるシミュレータのためよりイメージしやすくなった.人工呼吸中の食道内圧を再現することはできるが,生体における食道蠕動運動や硬さなどの再現は困難であった.装置の耐久性やリークなどの異常をきたしやすいため工夫や改良がさらに必要である.
【結語】
食道内圧測定用バルーン挿入および測定シミュレータを作成した.