14:00 〜 14:10
[43] 医療事故報告のデータ分析に基づく医療機器のリスク評価
【背景・目的】
医療事故情報の報告を介したリスクマネジメントは,顕在化された問題のみならず,潜在的な問題も含め安全管理体制を検証するために有用で貴重な情報源といえる.その一方で,当施設における医療機器に係るインシデント・アクシデント報告は減少傾向を辿り,その報告システムが十分に活用されているとは言い難い状況である.本研究の目的は,データ分析に基づく医療機器のリスク評価をおこない,医療機器に関連した医療事故報告の重要性について検討した.
【方法】
当施設におけるインシデント・アクシデント報告(2016-21年)のデータ整理・分析から,医療機器に係る医療事故報告の傾向を検証した.また,全ての事例に対して,概要での分類上「医療機器等」には分類されていないが,その背景に医療機器の操作や設定ミス,故障などの関与が考えられる事例を発生要因から分析した.
【結果】
提出された2,489件の報告書のうち,「医療機器等」の事例は34件の1.4%に過ぎなかったが,詳細に発生要因の特定を調査した結果,医療機器の関与が考えられる事例(「医療機器等」の事例を含む)は328件の13.2%を占めた.その内訳は,事故の概要での分類上,「療養上の世話」に含まれる事例が144件と最も多く,次いで,「薬剤」に含まれる事例が91件と続いた.患者への影響度分類では,大半が影響レベル1であったが,影響レベル3aが19件,影響レベル 3bが5件といったアクシデントがあった.
【考察】
医療事故の背景には潜在的に医療機器が多く関与していることから,われわれの意識や病院運営の仕組みを変革し,医療事故を報告する文化の醸成の推進を図り,医療機器に係る安全システムの構築へと展開することが重要であると考える.今後さらに,医療機器に係る医療事故情報の報告を介したデータ分析により,安全性のシステム改善に繋がる新しい価値を生み出し,安全で高質な医療を提供することが必要不可欠であろう.
医療事故情報の報告を介したリスクマネジメントは,顕在化された問題のみならず,潜在的な問題も含め安全管理体制を検証するために有用で貴重な情報源といえる.その一方で,当施設における医療機器に係るインシデント・アクシデント報告は減少傾向を辿り,その報告システムが十分に活用されているとは言い難い状況である.本研究の目的は,データ分析に基づく医療機器のリスク評価をおこない,医療機器に関連した医療事故報告の重要性について検討した.
【方法】
当施設におけるインシデント・アクシデント報告(2016-21年)のデータ整理・分析から,医療機器に係る医療事故報告の傾向を検証した.また,全ての事例に対して,概要での分類上「医療機器等」には分類されていないが,その背景に医療機器の操作や設定ミス,故障などの関与が考えられる事例を発生要因から分析した.
【結果】
提出された2,489件の報告書のうち,「医療機器等」の事例は34件の1.4%に過ぎなかったが,詳細に発生要因の特定を調査した結果,医療機器の関与が考えられる事例(「医療機器等」の事例を含む)は328件の13.2%を占めた.その内訳は,事故の概要での分類上,「療養上の世話」に含まれる事例が144件と最も多く,次いで,「薬剤」に含まれる事例が91件と続いた.患者への影響度分類では,大半が影響レベル1であったが,影響レベル3aが19件,影響レベル 3bが5件といったアクシデントがあった.
【考察】
医療事故の背景には潜在的に医療機器が多く関与していることから,われわれの意識や病院運営の仕組みを変革し,医療事故を報告する文化の醸成の推進を図り,医療機器に係る安全システムの構築へと展開することが重要であると考える.今後さらに,医療機器に係る医療事故情報の報告を介したデータ分析により,安全性のシステム改善に繋がる新しい価値を生み出し,安全で高質な医療を提供することが必要不可欠であろう.