第98回日本医療機器学会大会

講演情報

特別講演

特別講演1 病院機能評価3rdG:Ver3.0の改訂で求められる洗浄・滅菌機能について

2023年6月30日(金) 14:00 〜 15:00 第1会場 (アネックスホール F201+F202)

座長:江島 豊(東北大学)

14:00 〜 15:00

[特別講演1] 病院機能評価3rdG:Ver3.0の改訂で求められる洗浄・滅菌機能について

長瀬 清 (岐阜大学医学部附属病院 手術部)

2013年に第三世代に移行した病院機能評価は、今年4月から3rdG:Ver。3。0に改訂された。病院機能評価による認証は、総合入院体制加算1、2(2016年〜)あるいは特定機能病院の承認要件(2021年〜)だけでなく、急性期充実体制加算(2022年新設)など、制度上の要件で「受けている」とされている診療報酬が設定され、多くの病院が認証を求める外部評価機構の1つである。
また第三世代から、病院の特性に応じた評価、評価内容の重点化、プロセス重視の評価、継続的な質改善の支援の4項目が導入され、手順書やマニュアル整備の確認が中心だった第二世代から、より臨床現場での活動に重点が置かれている。そして4月新たに導入された3rdG:Ver。3。0からは、今まで特定機能病院を対象とした一般病院3特有の評価方法が特定機能病院以外の病院にも展開され、200床以上の病院では医療安全ラウンドやカルテレビューなども導入されることとなった。つまり、多くの病院において病院機能評価で認証を受けるためには、対策すべき領域が拡大されている。そして評価項目も3rdG:Ver。3。0から求められる基準が高くなっている。例えば3。1。8洗浄・滅菌機能 においては、機器・器材の特徴・特性に応じた洗浄、消毒、滅菌等の方法が定められていること、一次洗浄をおこなう場合には汚染の拡散防止に最大限の注意を払い確実な防護をおこなって実施すること、滅菌の実施に際しては、物理的、化学的、生物学的な滅菌精度が確認されていることなど、以前は努力目標とされた項目の要求水準が上がっている。洗浄滅菌等の上限回数が定められている医療機器・器材は回数を管理すること、汚染防止のため搬送は密閉した容器であること、業務のワンウェイ化、SUDの再使用は認められないこと、特定化学物質障害予防規則に則って安全対策を実施すること、委託会社の業務責任者などと定期的なミーティングが必要とされたことも、今回の特徴である。また特定機能病院を対象とする一般病院3と基幹病院などを対象とする一般病院2を比較すると、例えば3。1。8洗浄・滅菌機能において、当然ながら求められる基準はほぼ同等であり、病院の規模や役割が異なっても要求には違いがなくなっている。
一方、今までの病院機能評価では、洗浄・滅菌領域の審査は必ずしも厳しくなかったと思わせる事実が、病院機能評価データブックから類推される。例えば2021年に受審した特定機能病院(一般病院3)の11施設において、A評価が9施設と特定の評価に集中していること。また部門別の活動状況において中央滅菌材料部門は4項目が列挙され、高圧蒸気滅菌の管理やBIの使用は100%の施設で確認されたが、一次洗浄をおこなっている(3施設)、滅菌効果の確認にCIを使用していない(1施設)など、基本的な指摘事項に留まっている。
今回3rdG:Ver。3。0では、医療現場における滅菌保証のための施設評価ツールが参考資料に加えられた点も新しい。解説集に詳記された機能評価機構が標準作業手順書の整備を求める点も、施設評価ツールの影響と考えられる。
この講演では、施設評価ツールと機能評価で求められる基準を比較しながら、具体的な対策について触れたい。