第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

医療機器管理

医療機器管理3

2024年6月22日(土) 10:10 〜 11:20 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:今井 英一(新潟市民病院)

10:50 〜 11:00

[112] 2次元マーカーとカメラを用いた医療機器の見守りシステムの構築

川邉 学1, 本塚 旭1, 三輪 泰之1, 加納 隆2 (1.埼玉医科大学保健医療学部臨床工学科, 2.滋慶医療科学大学大学院医療管理学研究科)

【はじめに】
医療機関における感染対策として患者病室にネットワークカメラを設置して遠隔で患者の見守りをおこなう事例が報告されている.医療機器に目を向けると「IoT」や「機器からの出力画像(HDMIやDVIからのキャプチャ画像)」で機器を遠隔監視するシステムが実現している.しかし,それらは情報の出力端子がない機器は非対応である.
【目的】
ベッドサイドに1台の高画質カメラと2次元マーカーを設置するのみで患者見守り,医療機器の状態を遠隔監視できるシステムの構築を目指した.
【方法】
機材は4Kウェブカメラ,Raspberry Piを使用した.特に注目したい医療機器の画面や機器の部位などに印刷した2次元マーカーを複数枚貼付し,4K画像からマーカーに囲まれた対象物の切り取り画像を得た.対象物を斜めから撮影している場合は透視変換を用いて機器を正面から見ているかのように画像を変換した.システムの評価項目としてマーカーサイズ(2,3,4cm)における画像の取得可能な距離・角度,取得した画像の画質を評価した.取得した画像は,Webサーバにアップロードしてブラウザ上で確認できるようにした.
【結果・考察】
マーカーサイズが2cmで2m,3cmで3.5m, 4cmで4.5mとマーカーが大きくなるほどカメラと対象物に距離があっても画像の取得が可能であった.また,カメラと対象物(機器画面)との配置角度が約70°でも対象物の画像が取得できた.画質においては,カメラと対象物に距離がある,配置角度が大きいほど画像の品質が劣化した.対応として8Kカメラの利用,画像処理による画像品質の向上,マーカーによる距離計測でのフォーカス自動調整などが考えられる.
【結語】
高画質カメラと2次元マーカーを用いて患者見守りと出力端子がない医療機器の状態が遠隔で監視できるシステムを構築した.画像品質の改善が必要なもののシステム構成が簡素であるため導入のハードルは低いと考えられる.