第99回日本医療機器学会大会

講演情報

一般演題

手術室

手術室

2024年6月21日(金) 09:00 〜 10:10 第4会場 (アネックスホール F204)

座長:野田 剛広(大阪大学)

10:00 〜 10:10

[46] 次世代画像システムの運用評価

瀬島 啓史, 倉島 直樹, 高井 希世子, 田邉 隆典, 峯岸 香奈子, 平澤 幸太郎, 廣瀬 夕紀 (東京医科歯科大学病院 ME センター)

【はじめに】
標準的なIP(Interneto Protocol)ネットワークを通じて医療映像データが相互通信可能な NUCLeUSを新棟増設に伴い導入した.今回,従来の映像をケーブル接続する既存棟のシステムと併用し運用評価をおこなった.
【方法】
システムはNUCLeUS, 機器は送信用NU- 3IPT,受信用NU-3IPR,モニターは医療用LMD- X310MT, LMD-X510MTと一般用BLABIAで構築した.LANは各手術室の壁面に設置した.運用前に内視鏡などの映像出力機器を抽出し 3DやSDIなどの信号の設定と接続確認をおこなった.使用評価はシステムの画像遅延を手術用内視鏡を用いて評価した.運用評価は2023年 10月から12月のトラブル件数と内容(接続間違い,使用方法,設置不備)についてNUCLeUS(N群)と既存のシステム(A群)と比較した.統計学的検討にはχ2乗検定を使用した.
【結果】
医療機器は機器の出力設定が必要であり, 3DはSingle信号への変換,SDIの不安定な信号はHDMIにし設定変更が必要であった.一方,内視鏡は通常の接続に比べてシステムを介し 4Kへアップコンバートした映像が鮮明であった.画像遅延は様々な出力方式でシステムを介しても100ms未満であった.トラブル対応件数
(N / A群)は84(45 / 38)件で有意差はなく,内容は接続22(1/ 21)件,設置不備8(8/0)件に有意差があり,操作33(20 / 13)件,その他20(11 /9)件で有意差はなかった.
【考察】
手術用内視鏡は手術モニターを用いることで3Dを表示し,4Kへアップコンバートにより鮮明な画像が得られ,遅延速度測定は100ms未満であり,手術機器としての使用が可能なだけでなく手術への貢献も示唆された.入出力に関係なくLANを接続すると様々な信号の画像連携が可能となり,接続の誤りが少ないシステムである.また,設備の増改築の際もLAN配線だけの整備で済む効率的なシステムと考えられた.
【結語】
NUCLeUSによりIPによる映像転送と手術用機器の容易な連携が可能になった.次世代画像システムの運用はDXに繋がり,医療の向上に寄与することが示唆された.