[O-2-273] RF発熱の生体影響-磁場強度依存性及びインプラントの効果-
【背景・目的】昨今、MRIの高磁場化が進み、3.0T MRIが稼動している施設が増加している。MRIの磁場強度が高まるほど、用いるRFパルスの周波数が増加し、そのためSARも増加するが、生体への影響、特に体内金属(インプラント)装着患者への影響の実態が報告されていない。そこで本研究では、腰椎MRI検査における熱感の磁場強度及びインプラントによる違いを調査した。【対象・方法】11ヶ月間に1.0T及び3.0TMRIで腰椎検査を行ったそれぞれ250例及び398例を対象に、年齢、性別、身長、体重、インプラントの有無、撮像時間とともに、検査終了後に熱感の有無及び有害事象についても調査した。また、両機種ともに高速スピンエコー法による3方向(Sag、Axi、Cor)のT1、T2強調撮像を行った。【結果と考察】熱感を自覚した割合は1.0Tで6.8%であったが、3.0Tでは52.5%に増加した(Fig.1)。これらの熱感の自覚には、年齢、性別、BMI及びインプラントの有無による有意差は見られなかった。しかし、3.0Tにおいて、前腕骨髄内釘を装着した患者の1症例で強い痛みにより検査を中止した有害事象があった。【結論】高磁場装置ほど明らかに検査中の熱感を訴える患者が増加したが、インプラントの有無による統計的違いは認められなかった。しかし、唯一の有害事象はインプラント装着患者で発生したので、RF発熱のインプラントの影響の更なる研究が必要である。