第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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3.悪性腫瘍・補助療法

[P03-09] 下顎病変を契機に診断された成人型ランゲルハンス細胞組織球症の1例

〇横川 美咲1、釘本 琢磨1、平井 秀明1、原田 浩之1 (1.東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 顎口腔外科)


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ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は,主に小児期に発症する非常にまれな疾患であり,その発症機序は未だ解明されていない.今回,下顎病変を契機に成人型LCHの診断に至った1例を経験したので報告する.
患者は69歳の男性,右側下顎歯肉の疼痛を主訴に,2017年11月に当科を受診した.右側下顎に34×28mm大の羊皮紙様感を伴う骨膨隆を認め,一部で肉芽状腫瘍の露出を認めた.オトガイ神経麻痺を認めなかった.両側頸部に多発するリンパ節腫大を認めた.パノラマX線写真では,右下6根尖部から下顎管に及ぶ不整な骨破壊像を認めた.CT,MRIでは右側下顎骨破壊像と皮膚浸潤像,両側頸部リンパ節腫大を認めた.PET/CTでは右側下顎骨と両側頸部リンパ節に種々のFDG異常集積を認めたが,その他臓器に異常集積は認めなかった.下顎骨中心性癌が疑われたため,同部歯肉より生検を施行したところ,病理組織学的診断はLCHであった.血液内科を受診し,下顎骨・リンパ節・皮膚・下垂体の多臓器型LCHと診断された.また部分尿崩症を合併していた. 2018年3月よりPSLおよびAra-Cによる化学療法を10クール施行した.現在,寛解状態であり,口腔内に明らかな再発病変はない.
成人型LCHは肺病変が主であるが,顎骨に生じる場合もある.その場合,歯肉の腫脹,疼痛を主訴に歯科を受診することもあり,本疾患を考慮に入れて対応する必要がある.