第39回一般社団法人日本口腔腫瘍学会総会・学術大会

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9.悪性腫瘍・ゲノム

[P09-04] 口腔扁平上皮癌細胞における線維芽細胞増殖因子受容体阻害剤の細胞増殖抑制効果

〇堀田 麻実1、吉澤 邦夫1、木村 裕二郎1、諸井 明徳1、上木 耕一郎1 (1.山梨大学大学院総合研究部医学域臨床医学系歯科口腔外科講座)


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【緒言】シスプラチン(CDDP)は口腔扁平上皮癌(OSCC)の治療に用いられる最も効果的な薬剤の一つであるが、癌細胞のCDDPに対する抵抗性が、抗がん剤治療の障害となっている。我々は以前に、口腔扁平上皮癌において、FGFR IIIc isoformが発現すると、FGFR1 IIIc isoform-ERK1/2-ETS-ZEBsのEMTシグナルと、FGFR IIIc isoform-ERK1/2-FGF2のポジティブフィードバックシグナルが協調し合い、EMTが持続されることを報告した。本研究においてはOSCCに対するFGFR1阻害剤の抗腫瘍効果を探索するために、細胞増殖抑制効果を検討した。【材料・方法】11種類の口腔扁平上皮癌細胞を用いてFGFRとESRPの発現特性をrRT-PCR法ならびにウェスタンブロット法により解析した。FGFRのノックダウン細胞を作製し、浸潤能、細胞増殖能を検討した。さらにCDDPとFGFR1阻害剤であるSU5402を併用し細胞増殖能を調べた。【結果・結論】11種類の口腔がん細胞を用いて検討した結果、2種類(TSU,HOC313)細胞のみ間葉系分子マーカを発現し、他の細胞に比較し高い浸潤能を示した。これらの細胞のみでFGFR c isoformが発現し、FGF2は増殖能や浸潤能を亢進し、FGFR siRNAや阻害剤SU5402はそれらを抑制した。さらに、ZEBの発現が亢進していた。抗癌剤であるCDDPでは細胞数にほとんど影響を示さなかったが、SU5402を使用することによって顕著に細胞数が抑制された。したがって、FGFR1 c isoformは悪性形質に貢献しており、FGFR1c isoformを阻害することで抗腫瘍効果を得ることができると考えられた。