第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-13 術後遠隔期・合併症・発達

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術後遠隔期

2015年7月16日(木) 16:50 〜 17:20 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:石戸 博隆 (埼玉医科大学総合医療センター)

I-P-084~I-P-088

[I-P-088] 人工弁血栓弁に対する治療戦略

仁田 学1, 瀧聞 浄宏1, 安河内 聰1, 百木 恒太1, 山崎 聖子1, 島袋 篤哉1, 田澤 星一1, 中野 裕介1, 新富 静矢2, 梅津 健太郎2 (1.長野県立こども病院 循環器小児科, 2.長野県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:人工弁, 血栓弁, 治療

【背景】人工弁患者における血栓弁発生は,致死的であり,迅速な診断・治療を要する。【目的】当院で経験した血栓弁症例をもとに,小児人工弁血栓弁に対する治療戦略を検討すること。【方法】対象は人工弁置換手術を施行した63例(73件)のうち,血栓弁を発症した6例(7件)。血栓弁発症時平均年齢10.4歳(10ヶ月-17歳),男児 3例。以下の項目につき診療録より後方視的に検討。1.人工弁置換した弁位,2.人工弁置換から血栓弁発症までの期間,3.診断契機,4.血栓弁発症時のPTINR(年代の古い例ではトロンボテスト),5.治療内容,6.転帰。【結果】63例(73件)のうち機械弁は62件(85%)に使用され,うち7件(11%)で血栓弁を発症した。生体弁・ホモグラフト使用患者では血栓弁の発症を認めなかった。大動脈弁2件,僧帽弁1件,三尖弁2件,共通房室弁2件(同一症例)で,弁置換から血栓弁発症までは平均2.6±4.3年(3日-12年)であった。診断時に3件で心不全症状を認め,残り4件は無症状で,定期検査で診断されていた。血栓弁診断時のPTINR(4件)は1.1-6.6,トロンボテスト(3件)は10-86%であった。治療方針は血行動態異常が顕在化していた症例では再手術を優先させ、血行動態が安定しているあるいは血行動態異常があっても手術リスクが高いと判断させた症例で内科的治療が優先されていた。結果として3例で一期的に再弁置換手術を施行し,2例で血栓溶解療法無効のため再弁置換手術を施行した。残り2例は血栓溶解療法のみで改善した。再弁置換手術5例のうち4例(80%)は手術所見で血栓以外にパンヌスの合併を認めた。また再弁置換手術を行った5例のうち1例が死亡した。【結論】人工弁血栓弁に遭遇した場合,1.血行動態異常の有無,2.血栓の存在部位(左心系か右心系か),3.血栓塞栓症リスク(血栓サイズ、可動性),4.手術リスク,5.出血リスクを考慮し治療方針を選択する必要がある。また血栓溶解療法が無効な場合には,パンヌス合併の可能性を念頭に入れる必要がある。