[I-P-114] 安価な3Dプリンターはシュミレーション医学に貢献するか?
キーワード:3Dプリンター, CT, 解剖学
【背景】3Dプリンターによる術前検討は脳神経外科、形成外科、整形外科を中心に広く行われる。循環器領域のCTではそのまま応用したのでは心腔内を満たした造影剤の形で造形される。手術やカテーテルインターベンションに対する応用を考えると心腔内が腔として表現されたモデルを作成する必要がある。3Dプリンターは低価格化が進んでいるものの、低価格帯の物はこれまで精度や循環器科の利用においては検討されることがなかった。【目的】安価(本体価格100万円以下)な3Dプリンターを用いて小児循環器領域に貢献しうるモデルを作成する系を確立し妥当性を検討する。【結果】実売価格約16万円程度の3Dプリンター(Up2plus, TierTimeTechnology, China)を用いた。素材をABSプラスチックとし計測したところ、平均して-2.46%縮小することが判明した。次に当院で保管されていた先天性心疾患心臓標本をCTで撮像し造形を行った。X線透視装置で観察を行い、内部構造がある角度では見えるものの、それ以外では充分観察可能であった。モデルを用いて心房中隔欠損デバイス閉鎖術やステント留置を行いシミュレーション可能であった。また心腔内エコー装置を用い水槽内で観察し、プローベ近位の内腔に関しては充分観察しえた。最後にPACSを用い、大血管の造影剤によりCT値の高い部分から5ピクセル外側を関心領域として設定し、CT値の高い領域による差をとることで内腔を表現するモデルを作成。DORV肺動脈絞扼術モデルを作成する事に成功した。【考察】従来3Dプリンターは高価で、作成にも時間やコストがかかる物であった。安価な3Dプリンターは時間はかかるがコストは圧倒的に下げることが出来る。教育的観点からも実際の臨床に即したモデルを安価かつ容易に作製可能な系を確立する必要があり、昨今の技術進歩がそれを可能にしつつある。