第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

Presentation information

ポスター

1-17 心血管発生・基礎研究

ポスター
心血管発生・基礎研究②

Thu. Jul 16, 2015 5:20 PM - 5:50 PM ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:上砂 光裕 (日本医科大学千葉北総病院)

I-P-110~I-P-114

[I-P-113] 当院で経験した22q11.2欠失症候群の大動脈弓異常

大島 康徳, 大下 裕法, 森 啓充, 河井 悟, 安田 和志, 馬場 礼三 (あいち小児保健医療総合センター)

Keywords:22q11.2欠失症候群, 大動脈弓異常, 鰓弓発生異常

【背景】22q11.2 欠失症候群は染色体22q11.2領域の微小欠失に伴う疾患で、先天性心疾患、特徴的な顔貌、胸腺低形成、副甲状腺低形成などを主徴とし、3,000から6,000出生に1人の頻度で発生する。 心血管異常により疑われ診断される例が多く、大動脈弓異常も少なくない。【目的】当院で経験した22q11.2欠失症候群患者の大動脈弓異常について調査した。特殊な形態を有した症例を提示し、文献的考察を加えて報告する。【対象】2005年1月1日~2014年12月31日の10年間に当院で診察を行った22q11.2欠失症候群患者を対象とし、後方視的に検討した。【結果】当センターで診療を行った22q11.2欠失症候群は13名であった。このうち心疾患患者は13名100%であった。ファロー四徴症が6例46%、大動脈弓離断が3例23%、総動脈幹症、心房中隔欠損症、動脈幹開存症、両大血管右室起始がそれぞれ1例ずつであった。8例62%で大動脈弓異常を認めた。右側大動脈弓を3例23%で認め、大動脈弓分枝形態に関しては、三弓遺残が2例15%、右鎖骨下動脈起始異常、左鎖骨下動脈起始異常を1例ずつ認めた。症例1、総動脈幹症症例は頚部大動脈弓であり、三弓遺残と考えられた。上行大動脈より両側総頚動脈が分岐し、下行大動脈より両側鎖骨下動脈が分岐する特殊形態であった。症例2、IAA症例は右三弓鎖骨下動脈を認め後方より下降し鎖骨下を走行していた。症例3、DORVの症例は極めて特殊で左肺動脈より総頚動脈のみが分枝するisolated left carotid artery / 左鎖骨下動脈起始異常であった。大動脈弓異常による症状を有する者は認めなかった。【考察と結論】22q11.2欠失症候群患児は鰓弓形成異常を伴い、心疾患をはじめ多彩、かつ特殊な大動脈弓異常を認めた。大動脈弓異常患者は心奇形のため手術する例が多く手術の合併症を防ぐため、また将来大動脈弓異常による食道、気管圧迫症状を呈する症例が報告されており、正確な解剖学的診断が必要である。