第51回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

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1-17 心血管発生・基礎研究

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心血管発生・基礎研究②

2015年7月16日(木) 17:20 〜 17:50 ポスター会場 (1F オリオン A+B)

座長:上砂 光裕 (日本医科大学千葉北総病院)

I-P-110~I-P-114

[I-P-112] 次世代シーケンサを用いた多発性肺内蔓状血管腫責任遺伝子同定の試み

馬殿 洋樹, 那波 伸敏, 高橋 邦彦, 桂木 慎一, 廣瀬 将樹, 髭野 亮, 三原 聖子, 成田 淳, 小垣 滋豊, 大薗 恵一 (大阪大学医学系研究科 小児科学教室)

キーワード:次世代シーケンサ, 多発性肺内蔓状血管腫, 遺伝子解析

【背景】多発性肺内蔓状血管腫は、先天性の血管形成異常による体肺動脈側副血行を示す極めて稀な疾患である。肺内蔓状血管腫のみを持つ症例の報告は小児、成人ともに散見される。また先天性心疾患に伴い肺内蔓状血管腫が発達することは経験される。原因としては血管発生に関する遺伝的異常が疑われるが、その原因遺伝子は解明されていない。一方、次世代シークエンサーの登場により、個人の遺伝子解析は短時間かつ安価で行う事ができるようになった。今回、我々は新生児期からの難治性てんかんと肺内蔓状血管腫を合併し、血管発生に関する遺伝的異常が疑われる特異な症例を経験し、次世代シークエンサーを用いてその原因遺伝子検索を行った。【症例】9歳10ヶ月、女児。新生児期より薬剤抵抗性の難治性てんかんを発症し、現在も治療中である。生後9ヶ月で心拡大を指摘されたことを契機に多発性肺内蔓状血管腫と診断される。【方法】患児と、その両親、兄の末梢血リンパ球からgenomic DNAを採取して、次世代シークエンサー(HiSeq2000、Solid4)を用いてシークエンスを行った。【結果】原因遺伝子と考えられる3つの変異が見つかった。変異はすべてHeterozygousな変異であり、non-synonymousな単一塩基変異が1つ、Frameshift変異が1つ、Stoploss変異が1つであった。見つかった変異はすべてSanger法でも変異が確認された。確認された変異について一部機能解析を行った。【結論】次世代シーケンサを用い稀少疾患の候補遺伝子を絞り込むことができた。今後、候補遺伝子についてさらに機能解析を行い、責任遺伝子を確定できるか追求し、今後の治療・診断に活用していく必要がある。