[III-P-133] 21trisomy患者に対する心臓血管外科治療
キーワード:21trisomy, 外科治療, 単心室治療群
【目的】21trisomy症患者に対する心臓血管外科手術について遠隔成績を含めた現状を検討し、問題点を明らかにすること。【対象】当院開設以来2014年末までに、主に心疾患をもった21trisomyの患者431名のうち、何らかの心臓血管外科手術を受け、現在まで経過の追える81名。男子39名、女子42名。心疾患主診断はPDA4、ASD10、VSD22、AVSD27(partial AVSD7)、TOF(PAVSDなど含む)13、単心室3、先天性僧房弁閉鎖不全症、完全房室ブロック各1であった。初回手術時平均年齢は2.8±5.7歳(9日~36歳)。これらに対し、二心室型の一期的根治術66(他院術後の初回再手術介入2を含む)、二心室型の二期的根治術10、フォンタン手術3、肺動脈バンディング、ペースメーカー入れ替え各1を行った。【結果】術後経過観察期間は平均9.5年、最大27.5年であった。近接死亡は2例、1例はAVSDに対する房室弁形成不能のためTCPCを施行するも当日死亡。もう1例はAVSDの遠隔期に僧房弁閉鎖不全に対し僧房弁置換術行うも翌日死亡。遠隔死亡は3例、突然死2例、敗血症1例。ただし、これらはいずれも単心室群であり、術後1年以内に死亡していた。10年生存率は93.1%(Kaplan-meier法)であったが、20年生存率も同じであった。予定二期的手術および成長に伴う再介入を除く再手術は5例で、AVSD術後の僧帽弁介入3(MVR2、MVP1)、左室流出路狭窄解除1、muscular VSDが閉じきれずPAB1。現在の生活環境は再手術症例も含めほぼNYHAIで経過していた。ただ、両親が高齢化に伴う通院困難例なども見られ、今後さらなる経過観察には注意が必要と考えられた。【結語】21trisomy患者に対する手術治療につき検討した。90年代の手術であるが、単心室治療群に対する手術成績は良好とは言えなかった。通常の二心室根治群の治療成績は問題なかったが、30歳を越える症例も出てきており、長期経過観察のためには家族以外の協力も必要と考えられた。