The 52st Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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パネルディスカッション

パネルディスカッション4(II-PD04)
「患者・家族支援を考える」 - Social support system of patients and their families -

Thu. Jul 7, 2016 4:10 PM - 5:40 PM 第E会場 (シンシア ノース)

座長:
西畠 信(総合病院鹿児島生協病院 小児科)
檜垣 高史(愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学)

II-PD04-01~II-PD04-04

4:10 PM - 5:40 PM

[II-PD04-03] 先天性心疾患患者が望む社会保障制度設計

落合 亮太1, 檜垣 高史2 (1.横浜市立大学 医学部看護学科, 2.愛媛大学医学部附属病院 地域小児・周産期学講座)

先天性心疾患患者の社会保障制度利用実態を明らかにするため、2013年に20歳以上の患者会会員1626名を対象に質問紙調査を実施し、373名(22.9%)から有効回答を得た。対象者の年齢は中央値28歳(範囲: 20-78)、身体障害者手帳取得者は303名(81.2%)であった。通院中の346名(92.8%)の年間通院医療費は、1万円未満92名(26.6%)、5万円未満87名(25.1%)の順で多く、5割以上が重度心身障害者(児)医療費助成制度を利用していた。直近3年間に入院経験のある130名(34.9%)の年間入院医療費は、5万円未満29名(22.3%)、10万円未満と25万円未満が各17名(13.1%)、25万円以上が6名(4.6%)であり、医療費助成制度利用は1割台であった。25万円以上負担する6名のうち、5名が居住地以外の都道府県にある医療機関に入院していた。全対象者のうち、339名(90.9%)が「就労や福祉の相談に乗ってくれるスタッフ」を「とても必要だと思う」「まあまあ必要だと思う」と回答した。本研究実施時点では、患者の年間通院医療費負担軽減は、重度心身障害者(児)医療費助成制度に依るところが大きかった。本調査実施後の2015年、小児慢性特定疾患治療研究事業が小児慢性特定疾病対策に引き継がれ、対象疾患にフォンタン術後症候群等が追加、相談支援事業が必須事業となった。相談支援事業は本研究対象者のニーズと合致しており発展が期待される。2015年にはさらに、指定難病が306疾病に拡大され、修正大血管転位症等のうち、NYHA心機能分類Ⅱ度以上の者が「特定医療費の支給」対象となった。これらの制度変更により、医療費負担がどう変化したか、再調査が必要である。また、本研究では遠隔の医療機関に入院する重症患者の存在が示されたが、対応する助成は現状ほぼない。専門施設が全国にはない中、付添家族に対する交通費・宿泊費助成は検討を要する