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[P55-02] NYHA class IVで診断された小児肺動脈性肺高血圧症の治療反応性と予後
Keywords:NYHA Class IV、小児、肺高血圧
背景New York Heart Association functional class IV (NYHA FC IV)で特発性および遺伝性肺動脈性肺高血圧(IPAH、HPAH)と診断された重症患者に対する治療戦略は、Epoprostenolを含むCombination therapyが推奨されているが、治療への反応性や転帰については、十分報告されていない。目的診断時にNYHA FC IVであった小期発症の肺高血圧患者に対する治療反応性と予後について検討する。方法1992年から2015年までの間、当院で経過観察した18歳未満に発症したIPAH、HPAH患者のうち、診断時にNYHA FC IVであった症例の臨床データを後方視的に解析した。結果全84例中、10例(12%、IPAH6例 HPAH4例、女児5例)が診断時にNYHA FC IVであった。発症時年齢は9歳(6-13歳)で、11例中8例が発症推定年齢から1年以内で診断されていた。診断までに、失神を4例(40%)、喀血を1例に認めた。経過観察中(1か月から25か月)、死亡は8例(80%)、3例は診断から1か月以内に死亡した。死亡例のうち、肺移植施行例が2例含まれており、移植後に死亡している。治療は、9例で診断後よりEpoprostenol治療が開始されており、1か月以内に死亡した症例を除き、Combination therapyが行われている。1か月以上経過観察しえた7例では、Combination therapy開始後にも心不全による入院を要していた。経過観察中、最後に施行された心臓カテーテルによる評価では、平均肺動脈圧は72mmHg、肺血管抵抗値は25.1単位、心係数は2.8l/min/m2であり、治療反応性に乏しかった。結論診断時にNYHA FC IVであった症例では、発症からの症状の進行が早く、Epoprostenol治療の早期導入によっても、肺血行動態に対する反応性が極めて不良で、心不全による入院を繰り返し、死亡率が高かった。このような患者群に対しては、早期の肺移植の登録、待機が必要であることが示唆された。