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[P73-03] 冠動脈起始異常を伴う単一流出路疾患に対する外科治療戦略の考察
Keywords:冠動脈起始異常、ラステリ手術、単一冠動脈
【はじめに】総動脈幹や肺動脈閉鎖などの単一流出路疾患への二心室治療はラステリ型手術を基本とするが、冠動脈起始異常、不均衡心室合併例ではその適応に慎重を要する。冠動脈起始走行異常を合併した単一流出路型心疾患の治療戦略を検討した。【対象】当院で手術介入した冠動脈起始異常を伴う複雑心疾患4例。診断は1:TAC-IAA, Small RV, 2:DORV, L-TGA, PA, CoPA, Small RV, 3: DORV, D-TGA, PA, 4: PAVSD, Hypo LPA。冠動脈形態は、症例1は右前方の弁尖から2本近接して起始、残る3例は単一冠動脈で2:2RLCx, 3:2RLCx, 4:2LCxR形態。症例1,2ではLMTが、症例3,4ではRCAと全4症例とも主要冠動脈が右室流出路を横走していた。症例1,2は右室低形成を合併。【経過】初回手術は症例1でBPAB、残る3例でBTS(2例で肺動脈形成併施)を施行した。症例1は右室・三尖弁低形成(TV Z score=-3.14, RVEDV=86.5%)を理由に大動脈再建とBTS、心房間交通拡大術を施行するも、TV Z score=-3.86, RVEDV=55.7%と右心系は成長せず単心室型治療を選択して両方向性グレン手術を施行、他3例は二期手術待機中。症例2は右室低形成かつ導管によるLMT圧迫が懸念され通常のラステリ手術は困難で、大動脈の右側に導管を通す変法か単心室型治療を選択するか検討中。症例3は三尖弁腱索が円錐中隔へ異常付着し、かつ導管によるLAD圧迫の可能性が高いため二心室治療を回避し両方向性グレン術を予定。【結語】冠動脈異常を伴う複雑心疾患へのラステリ型二心室治療は、冠動脈走行や不均衡心室、房室弁の異常により回避すべき場合もある。我々は心内構造上心室の左右2分割が難しい症例に加えて、1.LMTまたはLADが導管で圧迫される懸念がある症例、2.右室容積・三尖弁弁輪径が正常80%以下の症例、3.CT画像で心室間溝が正中に変位し、LADが胸骨裏を走行する症例に関してはラステリ型二心室型治療を回避する方針としている。