13:55 〜 14:45
[I-OR10-04] 心房中隔欠損術後の心嚢液貯留に関する臨床的検討
キーワード:心房中隔欠損, 心嚢液貯留, 心膜切開後症候群
近年では心房中隔欠損(以下ASD)開心術の成績は良好で、安定しており、小切開手術(以下MICS)等の美容にも考慮した術式が取られているが、術後の心嚢液貯留(以下PE)の合併症はしばしば認められ、心膜切開後症候群ともいわれ、その発生は術後経過に影響を与える。また先天性心疾患の手術の中ではASD術後のPEは有意に多いとの報告もある。【目的】ASD術後のPE発生の頻度及び臨床的特徴を検討することを目的とした。【対象・方法】2009年11月から2016年12月までに国立成育医療研究センターにて施行されたASD単独閉鎖術連続50例(男22例・女28例、年齢5ヶ月~16歳)を診療録から後方視的に検討した。合併心疾患を有する例は除外した。【結果】治療が必要であったPEは8例(16%)に認められたが、PE(+)群とPE(-)群に関して、手術時年齢・体重・ASDサイズ・肺体血流比・MICSの有無には差は認められなかった。PEの治療に関しては、全例で利尿剤が投与され、7例がアスピリン・1例がコルヒチンで外来治療された。PEが原因となる再入院は、アスピリンが効果なく、ステロイド製剤が投与された1例と術後4ヶ月後にPEが再発した1例の計2例に認められた。【考案】ASD術後PEは年長者に多いとの報告があるが、小児でも同様であった。ASD術後PEの発生頻度が多い理由については、心膜切開および術前の右心系の容量負荷およびその解除が指摘されているが、詳細は不明である。また今回の検討では術前に明らかな臨床的特徴を捉えることも困難であった。ただし1例ではあるが、術後4ヶ月時点でもPE発症を認める可能性もあり、術後フォローについては一定の留意が必要と考えられた。