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[I-OR15-04] Fontan conversion術前のEPSの有用性について
キーワード:先天性心疾患, Fontan手術, 不整脈
【背景と目的】Fontan術後遠隔期の心房性不整脈は予後決定の重要な因子である。当院ではFontan術後心房性不整脈を発症した症例に対してConversion時に積極的に不整脈手術を行っていたが、術後pacemaker (PM) 調律となる症例が多い印象があった。近年、術後PM調律を回避するため、またConversion時の手術時間短縮のため、術前にEPS、アブレーションを積極的に行うようにし、同時不整脈手術を縮小する方針に変換した。今回術前EPSの有用性を後方視的に検討する。【対象と方法】当院において2003年1月から2016年12月までにConversion術前にEPS行ったE群 20例、EPSを行わなかったN群30例を対象とした。【結果】E群、N群での術後早期死亡は1例、2例。遠隔期死亡はE群でなく、N群で3例。E群はEPS時に16例(80%)にアブレーションを行い、10例(50%)に術中不整脈手術を追加した。術前、E群は全例、洞調律(SR)あったが、N群は基本調律が心房細動が8例(26.7%)あった。E群ではConversion時もしくは術後追加でPM本体埋め込みを要した症例が7例(35%)、N群では17例(57%)であった。術後早期死亡を除いた症例において、E群では術後SR維持が15例(78.9%)、接合部調律が1例(5.3%)、PM調律が3例(15.8%)であったのに対し、N群では洞調律が11例(39.3%)、心房細動5例(17.9%)、接合部調律1例(3.5%)、PM調律11例(39.3%)であり、自己の洞調律維持に関してはE群の方がN群より有意に高く(p<0.5 )、PM調律はN群の方が高い傾向にあった(p=0.08)。【考察】Fontan手術後遠隔期の不整脈は難治性のものもあり、EPS・アブレーションだけでは対応困難な症例もあるが、術前EPSを行うことにより高率に術後洞調律を維持することができた。【結語】Conversion術前のEPSは有用であると思われた。