第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

電気生理学・不整脈

ポスター (I-P05)
電気生理学・不整脈 1

2017年7月7日(金) 18:00 〜 19:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:加藤 愛章(筑波大学医学医療系 小児科)

18:00 〜 19:00

[I-P05-04] 新生児期にインセサント型多源性心房頻拍を発症し頻拍依存性心筋症を合併した心房中隔欠損の一例

米田 徳子1, 伊藤 由依1, 本倉 浩嗣1, 加藤 健太郎1, 佐々木 宏太1, 伊藤 由作1, 大岩 香梨1, 坂口 平馬2, 渡辺 健1 (1.田附興風会医学研究所北野病院 小児科, 2.国立循環器病研究センター 小児循環器科)

キーワード:多源性心房頻拍, 抗不整脈薬, 心房中隔欠損

【背景】多源性心房頻拍(multifocal atrial tachycardia, MAT)は稀な不整脈である。成人では心不全、肺梗塞、感染に伴う低酸素や慢性肺疾患の増悪時に生じるが、小児では発症機序は明確ではない。【症例】MAT発症生後21日、女児。在胎38週、2610g、自然経膣分娩で出生。生後45分に低血糖を認め当科NICUに入院。心房中隔欠損、軽度の三尖弁閉鎖不全を認めた。高インスリン血症による低血糖と診断しジアドキサイドを開始。その後は血糖値が安定しジアドキサイドを減量中の生後21日に心房期外収縮が始めて出現。P波形態は複数、±心室内変更伝導、最大4連発で断続し、頻度は5.4%、インセサント型MATと診断した。ジアゾキサイドは中止。心機能は保たれていたが頻度が31%と増加したため生後26日よりプロプラノロールを開始。生後33日にLVEF=0.47と左心機能低下を認めたためプロプラノロールを中止してフレカイニド(50mg/m2/d)とラシックス(1mg/kg/d)を開始。発作波の頻度が改善しないため、生後35日(LVEF=0.52)にソタロール(50mg/m2/d)を追加、生後37日にソタロール(75mg/m2/d)とラシックス(2mg/kg/d)を増量、生後38日(LVEF=0.59)にソタロール(100mg/m2/d)を増量、生後44日(LVEF=0.68)にフレカイニド(80mg/m2/d)を増量した。頻度は3.2%と明らかな改善がみられ、生後51日に不整脈の消失を確認した。その後不整脈はみられず、外来で体重増加に任せてフレカイニドを50mg/m2/dまで減量した。なお経過を通してQT時間の延長はみられていない。【考察】本症例のMATの原因は心房中隔欠損による右心不全が関与している可能性がある。ソタロール・フレカイニド併用療法は有効であった。