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[I-P09-06] 成人期にFontan手術を行った3例 ―何がQOL向上につながったか?―
キーワード:Fontan手術, 成人Fontan, 成人先天性心疾患
【背景】成人期のFontan手術(以下F術)の適応に明確なものはない。一方現在でも希に成人期までF術に至らず手術介入を悩む症例もある。【目的】成人期のF術が、その後の患者のQOL向上にどう関わったかを検討する。【方法】当院で1987年以降F術を行った162名中、20才以上で施行した3例につき、臨床経過と検査データを後方視的に検討した。【結果】症例は TGA.CAVV.PA.IVCD.Polysplenia(41歳男性)、C-TGA.TA.PS (40歳女性)、DILV.PS(27歳女性)の3例。F術到達はそれぞれ22、29、26歳で、術後観察期間は7ヶ月~18年10ヶ月。先行手術としてBlalock-Hanlon、ASD creation各1、BTシャント2、TCPS1、BCPS 1が行われ、F術直前にPAVFのコイル塞栓術1と、繰り返す発作性上室性頻拍に対しカテーテルアブレーション1を行った。F術到達が遅れた理由として、時代背景からTCPSで自然経過をみた1、リスクを背景に両親の希望なし1、家庭の問題による施設在住1だった。術式は全例心外導管を用いたTCPCで、多脾症のSSSに対しPMIを同時に行った。修復術前後のSpO2 79→94%、CTR 49→52%、CVP 10.7→11.7mmHg、PAI 283→255、不整脈はSSSの1がPAFを合併、2名は洞調律を維持し、頻拍の再発はない。NYHAはclass2の1名では変化なく、class3の2名はSpO2の上昇に伴いclass1に改善した。1名はフルタイムで就労、2名は専業主婦、1名が妊娠し在胎35週・2066gの児を帝王切開で出産した。【考察】20歳以上でF術を施行した当院の3例は、不整脈や残存チアノーゼなどの問題は抱えるが、F術到達によるSpO2上昇がQOL向上に寄与していた。【結論】小児期以上に慎重な判断が求められるが、20歳以上で行うF術も、肺血管床、低いCVP、房室弁・体心室機能が維持された症例では、良好な経過を期待できる可能性がある。