第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

外科治療

一般口演 32 (II-OR32)
外科治療 5

2017年7月8日(土) 08:30 〜 09:20 第6会場 (1F 展示イベントホール Room 6)

座長:宮地 鑑(北里大学医学部 心臓血管外科)

08:30 〜 09:20

[II-OR32-05] 大血管位置異常を伴う左心低形成類縁疾患に対する流出路統合および弓部再建手術の実際

菅野 勝義, 村田 眞哉, 井出 雄二郎, 伊藤 弘毅, 今井 健太, 石道 基典, 福場 遼平, 坂本 喜三郎 (静岡県立こども病院 心臓血管外科)

キーワード:Norwood型手術, 大血管転位, 左心低形成類縁疾患

【背景】
大血管位置異常(MGA)を伴う左心低形成類縁疾患(vHLHS)は少ないが、流出路統合および弓部再建を行う(Norwood型手術と表記する)にあたり、自然な流出路方向と再建弓部のつながりを作成しにくく、中心肺動脈形成や肺血流路設置においても手技選択の幅が狭く、複雑な手術となりがちである。
【目的】
当院で行った、上記解剖学的特徴を持つ左心低形成類縁疾患に対する手術治療について、成績を検討する。
【対象・方法】
2001年4月から2016年3月までにNorwood型手術を施行した、MGAを伴うvHLHS14例について、解剖学的特徴、術後生存、治療到達度、合併症に対する追加手術の有無について確認・検討した。
【結果】
大血管位置異常:d-TGA6例, l-TGA 5例, DORV(TBA) 3例。大動脈弓部形態:離断3例, 低形成・縮窄11例。Norwood型手術時: 日齢中央値9(2-60),体重平均2.85+/-0.54kg, 手術時間平均480+/-51分, 体外循環時間平均241+/-42分, 大動脈遮断時間平均80+/-24分, 肺血流源: VPC 3例, BT shunt 11例。大動脈弓部再建法: EAA型 9例(パッチ補填8例, 自己組織のみ1例), Swing back型 4例, 人工血管使用 1例。手術死亡・入院死亡なし。遠隔死亡1例。治療到達度:単心室型TCPC到達8例, BDG後待機中2例, 転院による追跡打ち切り 1例, 二心室型 Rastelli型手術到達 2例。経過中に上行大動脈拡大(狭窄解除)を行ったものが3例(EAA型1例, Swing back型2例), Neo ARおよびsub ASに対する介入を要したものが1例(Swing back型)にあった。
【結語】
MGAを伴うvHLHS症例のNorwood型手術成立およびその後の治療進達度、生存率は良好であった。術後大動脈狭窄は発生例についても、狭窄解除手術で対応できていた。しかし、狭窄はSwing back型再建で発生率が高く、統合流出路と吻合される下行大動脈の形態・サイズ・血管軸の向き等、狭窄要因について再考を要す。