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[II-OR38-03] 当院における重症心疾患の胎児診断の現状と課題
キーワード:先天性心疾患, 新生児, 胎児診断
【目的】新生児心疾患の生命予後改善に伴い、胎児診断の役割はより重要になっている。今回当院における重症心疾患新生児を調査し胎児診断の現状と課題を検討した。【方法】2014年11月から2016年12月に当施設で28生日以内に心臓死(3例)又は心臓外科治療(122例)を行った125例を対象として、後方視的に調査した。【結果】主診断と各疾患における胎児診断率(()内)は以下の通りである。HLHS/HLHC 26例( 81%),TGA 26例(31%), CoA/IAA 20例(40%), TAPVD9例(0%), heterotaxy 12例(92%), TOF/PAVSD/Truncus7例(29%), Ebstein 5例(100%), 他2心室疾患(VSD/AVSD/DORV) 4例(25%), 他単心室疾患(PAIVS/Criss-Cross/TA) 8例(62%),他流出路疾患(AP window/AS/血管輪)4例(0%),その他4例であった。胎児診断例(F群)65例と新生児診断例(N群)60例に分け、比較検討した。上記胎児診断率の高い症例単心室症例がF群に多かったが、出生体重(以下F/Nで記載:2.8kg/2.9kg)、出生週数(38週/39週)、Apgarscore1分(8点/8点)5分(8点/9点)に有意差はなかった。ショック症例はF群2例(2%)、N群13例(23%)で、Ductal shock10例(うち体循環動脈管依存性心疾患9例),高肺血流による心不全2例,AS、TAPVD+PVO各1例であった。F群の2症例は胎児診断されたが母体紹介されなかったHLHSであった。【考案・結語】今回の検討より、HLHSは母体搬送が望ましい事、ショック症例は体循環動脈管依存性心疾患と肺静脈還流異常が多く、今後胎児診断には、左室流出路のみではなく大動脈弓全体の評価と肺静脈還流部位の確認まで行う必要性が示唆された。