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[II-P18-03] 当科における重複大動脈弓の2例
Keywords:重複大動脈弓, 血管輪, 喘鳴
【背景】重複大動脈弓は左第4鰓弓動脈と背側動脈第8分節の遺残により左右の大動脈弓が残存し、これにより気管食道を囲む血管輪が形成され圧迫症状が出現する稀な疾患である。今回、我々は重複大動脈弓2例を経験したので報告する。【症例1】診断は1歳3ヶ月。出直後に吸気性喘鳴がみられたが改善。離乳食開始後から食後・啼泣時の吸気性喘鳴がみられるようになった。1歳2ヶ月時に吸気性喘鳴を認め喘息性気管支炎・クループ症候群の診断で入院し、喉頭ファイバーを施行したが異常なかった。1歳3ヶ月時に誤嚥から呼吸困難を伴う意識消失発作(Dying spell)を来し人工呼吸管理のうえ集中治療を要した。胸部造影CTで重複大動脈弓と確定診断した。頭部MRIで虚血所見はなかった。1歳4ヶ月時に他院で修復術を施行した。術後、感冒時に吸気呼気性喘鳴を来たし、3歳までに5回の入院加療を要した。8歳までは喘息としてコントローラーを使用。なお軽度の知的障害がみられる。【症例2】診断は2ヶ月。生直後から安静時にも喘鳴がみられた。2ヶ月時に吸気性呼気性喘鳴を指摘され、胸部写真で気管支分岐角の開大と超音波検査から重複大動脈弓と診断し、胸部造影CT検査で確定した。3ヶ月時に他院で修復術を施行した。術後、啼泣時に軽度の喘鳴がみられたが、次第に軽快し6ヶ月時には消失した。術後に感染による入院加療を要していない。その後3歳時から慢性咳嗽がみられているが詳細は不明である。【考察】症例1は一旦喘鳴が軽快したが1歳時にDying spellを来たし生命は保たれたものの脳障害を合併した可能性は否定できない。従ってより早期の診断が重要であるが、症例1の経験から症例2では血管輪を念頭においてスムーズな診療が可能であった。いずれも生直後に喘鳴がみられていることから「生直後の喘鳴」があれば血管輪を疑い除外診断が必要と考える。