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[II-P19-03] SMAD3新規遺伝子変異を有し側弯・骨格変形・大動脈解離家族歴を持つ若年女性の一例
Keywords:Smad3, Aneurysms-Osteoarthritis Syndrome, マルファン症候群
【はじめに】 マルファン症候群 (MFS) およびLoeys-Dietz症候群を含む類縁疾患は、FBN1遺伝子異常の発見に端を発するTGFBR1/2, TGFB2/3, Smad 3などTGFβシグナル系の異常が検出されている。古典的なMFSに比較してTGFβ関連遺伝子変異を伴う症例では身体表現型が比較的目立たない一方、大動脈表現型がより若年性で、かつ末梢動脈病変・動脈蛇行など血管表現型が強い傾向がある。中でもSmad3変異は2011年に初めて報告され、Aneurysms-Osteoarthritis Syndromeと称されるように大動脈瘤、骨・関節炎症状が主な表現型とされる。本邦でのSmad3変異の実像は明らかでないが、今回MFSが疑われ、遺伝子診断でSMAD3新規変異を検出できた1例を報告する。【症例】 16歳女性で身長189cm、体重75kgと顕著な高身長を呈する。父180cm、母160cmで心血管疾患の既往は無い。父方祖母と父方祖父の弟の娘(*)に解離性大動脈瘤。(*)の息子が27歳時にMFS疑いで突然死している。患者は9歳頃から腰椎の後彎変形を認め、12歳時に変形が進行し当院整形外科・小児科を受診。脊椎の側彎と腰椎の後彎変形を認めた。肋骨は右13本、左12本と非対称。眼所見は強度の近視のみで水晶体亜脱臼なし。心エコーは心機能良好で軽度ARとMRを認めるが大動脈弁輪拡張はない。患者及び両親・兄のFBN1,TGFBR遺伝子変異はなく、患者にのみSMAD3のR386G変異を認め狐発例と考えられた。【考察】SMAD3遺伝子変異には最近多くの報告があるが、本例のc.1156A>G (R386G)は新規と考えられた。両親に変異はなくde novo変異で、家族歴の大動脈解離感受性は別の遺伝子の関与が推測された。SMAD3変異は大動脈拡大・解離のリスクであり慎重な経過観察が必要である。内科的治療としてMFSで第一選択とされるβ遮断薬やアンギオテンシン受容体拮抗薬投与も検討中である。MFS様の骨格系異常を認めた場合smad3を含めたTGF-smad系・FBN1の遺伝子検索が有用と考えられる。