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[II-PD7-02] 当院にて外科治療を行った、出生体重2kg以下の先天性心疾患症例の検討
キーワード:低出生体重児, 先天性心疾患, 外科治療
【背景】低出生体重児における先天性心疾患の症例が増加傾向にある。【対象】2010年から2015年に心臓外科治療を受けた症例のうち、出生時体重が2kg以下の35症例を検討した。初回手術日齢(中央値と範囲)は69(2-483)日、体重2.3(1.3-4.3)kg、2kg以下での外科治療は16例であった。死亡は6例で術後早期死亡は1例、4例がダウン症、他1例は奇形症候群によるものであった。疾患は体循環動脈管依存性心疾患(A群)12例、高肺血流群(B群)14例、低肺血流群(C群)8例であった。【結果】A群13例中12例で心不全(9例)またはPDA狭小(3例)のために体重2kg以下で外科治療を要した。8例は両側肺動脈絞扼術(PAB),5例はArch repairを行い、1例はNorwood術後に死亡した。他1例はダウン症で、体重3.5kgでbilPABを行ったが、慢性肺疾患のために遠隔期死亡した。B群では14例中5例はダウン症、2例は他奇形症候群と心外異常の症例が多かった。非奇形症例例の7例中4例は心不全のために体重2kg以下で外科治療(PAB2例、bilPAB1例、Jatene1例)を要したが全例生存している。ダウン症5例は2.6kg,78生日にPABを行い、軽度肺動脈狭窄のあった2例のみ生存し、1例は術後乳び胸、他2例は遠隔期に死亡した。C群8例は、全例体重増加を待って外科治療可能であり全例生存している。4例はダウン症以外の奇形症候群例であった。【結論】A群、およびB群の非奇形症例では体重2kg 以下で姑息術が必要だが、次回手術まで体重増加を待つことは可能であった。C群では早期の外科治療は要しなかった。B群のダウン症の予後が不良で、その原因として肺高血圧残存や慢性肺疾患があり、低出生体重児のダウン症では、高肺血流による心不全症状が明確でない症例でも、早めにPABを検討する必要がある。