第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

集中治療・周術期管理

ポスター (III-P35)
集中治療・周術期管理 2

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:石戸 博隆(埼玉医科大学総合医療センター 小児循環器科)

13:00 〜 14:00

[III-P35-04] 術後乳糜胸水の治療に胸膜癒着術を選択した21トリソミーの2症例

都築 慶光1, 水野 将徳1, 塚原 歩1, 長田 洋資1, 中野 茉莉恵1, 桜井 研三1, 升森 智香子1, 後藤 建次郎1, 小野 裕國2, 近田 正英2, 麻生 健太郎1 (1.聖マリアンナ医科大学 小児科, 2.聖マリアンナ医科大学 心臓血管外科)

キーワード:ダウン症候群, 乳糜胸水, 胸膜癒着術

【緒言】先天性心疾患(CHD)術後の乳糜胸水は治療に難渋する症例が存在する。難治例においては胸膜癒着術が行われる場合もあるが術後の呼吸機能への悪影響が懸念されるためダウン症候群(DS)症例での報告は少ない。我々はDSのCHD術後の難治性乳糜胸水の治療に胸膜癒着術が奏功した2症例を経験したので報告する。【症例1】11ケ月、男児、体重5.8kg、診断:心内膜欠損症。心内修復術(ICR)後MRが増悪し、術後5日にMVRを施行。術後10日経腸栄養開始したところ、術後15日より右乳糜胸水を確認した。絶飲食、TPN管理とし、術後16日よりオクトレオチドを開始し12μg/kg/hまで漸増したが改善は得られなかった。術後26日、胸管結紮とフィブリノゲン加第13因子の胸腔内投与による胸膜癒着術を行った。術後は乳糜胸水の改善を認め、術後65日呼吸状態問題なく退院となった。【症例2】1歳、男児、体重7.1kg、診断:心室中隔欠損症。ICRを施行し術後1日より経腸栄養を開始し、術後3日左乳糜胸水を確認した。MCTミルクに変更したが改善無く、術後6日より絶飲食、TPN管理とし、術後8日よりオクトレオチドを開始し12μg/kg/hまで漸増したが左乳糜胸水の改善は得られなかった。術後21日自己血10ml胸腔内投与、術後23日ミノサイクリン0.2mg/kg+50%糖水10mlの胸腔内投与による胸膜癒着術を行った。その後左乳糜胸水の改善を認め、術後41日に退院となった。【考察】DSの乳糜胸水に対する胸膜癒着術の報告は少ない。もともと呼吸に種々の問題を有することが多いDSでは癒着術による呼吸への悪影響が懸念されるが、今回経験した2例では、癒着術後も呼吸状態は問題なく経過している。症例によるが胸膜癒着術はDSの乳糜胸水に対する治療選択肢の一つとなり得ると考える。