The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

集中治療・周術期管理

Poster (III-P35)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Hirotaka Ishido(Division of Pediatric Cardiology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P35-05] 肺動脈絞扼術後の心嚢液貯留の危険因子に関する検討

村岡 衛1, 山村 健一郎1, 川口 直樹1, 寺師 英子1, 鵜池 清1, 中島 康貴1, 平田 悠一郎1, 永田 弾1, 帯刀 英樹2, 塩川 裕一2, 塩瀬 明2 (1.九州大学病院 小児科, 2.九州大学病院 心臓血管外科)

Keywords:肺動脈絞扼術, 心嚢液貯留, Down症候群

【背景】肺動脈絞扼術(PAB)は肺血流増加型心疾患の姑息術として行われる。心嚢液貯留は心臓手術後の合併症として多く、緊急ドレナージを要する場合もある。これまでに手術ごとの心嚢液貯留についての報告は少なく、PAB後の心嚢液貯留についてのまとまった報告は少ない。【対象と方法】2012年1月から2016年12月までに当院で施行したPAB患者45名、そのうち両側、片側PAB、超低出生体重児を除いた32例について診療録を元に後方視的に検討した。心嚢液貯留の発生頻度や時期を調べるとともに、心嚢液貯留群と貯留なし群における患者背景、検査所見を比較し、心嚢液貯留のリスク因子を検討した。【結果】男:女=18:14。疾患の内訳はVSD5例、DORV6例、AVSD11例、単心室7例、TGA1例。手術年齢は中央値32生日(7-151生日)、手術時体重は2497g(1598-5980g)。心嚢液貯留例は10例(31.3%)、貯留時期は術後2日目(1-10日目)であった。心嚢液貯留群のうち2例は心タンポナーデを発症し、それぞれ術後12日目、術後20日目に心タンポナーデ解除術を実施した。心嚢液貯留がみられた全例で利尿剤の投与が行われ、アスピリンを使用した例が6例、ステロイドを使用した例が3例あった。心嚢液貯留群と心嚢液貯留なし群の比較では、心嚢液貯留群の7/10例(70%)がDown症候群の症例であり、心嚢液貯留なし群(3/22例,13.6%)と比較し有意にDown症候群の症例が多い結果であった(p=0.0014)。また、心嚢液貯留群では術後1日目、術後3日目の白血球数が有意に低くかった(POS1:12661±6245 vs 18616±3999,P<0.01, POS3:8638±3204 vs 14057±4033,P<0.01)。【考察】術後心嚢液貯留の頻度は13-85%であると報告されている。PAB後の心嚢液貯留は約3例1例と比較的多く、特にDown症候群の症例では心嚢液貯留が起きやすいことが示唆された。心嚢液貯留の機序については不明な点が多く、当院での他手術との比較、過去の文献との比較も含め考察を行う。