The 53rd Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

Poster

集中治療・周術期管理

Poster (III-P35)

Sun. Jul 9, 2017 1:00 PM - 2:00 PM Poster Presentation Area (Exhibition and Event Hall)

Chair:Hirotaka Ishido(Division of Pediatric Cardiology, Saitama Medical Center, Saitama Medical University)

1:00 PM - 2:00 PM

[III-P35-06] 補助換気下でのDiaphragm Thickness Fractionによる超音波横隔神経麻痺診断

野崎 良寛1, 加藤 愛章1, 石川 伸行1, 林 立申1, 高橋 実穂1, 松原 宗明2, 野間 美緒2, 平松 祐司2, 堀米 仁志1 (1.筑波大学 医学医療系 小児科, 2.筑波大学 医学医療系 心臓血管外科)

Keywords:横隔神経麻痺, 超音波診断, 術後管理

【はじめに】横隔神経麻痺の超音波診断においては、一般に呼吸に伴う変位を観察する方法(変位法)が用いられる。しかし、補助換気下では横隔膜の変位は能動的なものか他動的なものか判断すること困難で、一時的に補助換気を中断する必要がある。横隔膜の吸気に伴う収縮は自発呼吸ならば筋肉の厚みの増加率:Diaphragm Thickness Fraction(DTF)={(吸気時横隔膜厚-呼気時横隔膜厚)/呼気時横隔膜厚}として評価することが補助換気下でも可能である。気管挿管、補助換気中DTF法により横隔神経麻痺と診断した新生児例を報告する。【症例】在胎40週、2465gで出生した新生児。出生後大動脈離断症Type A、心室中隔欠損症と診断され、日齢5に左側方開胸による拡大大動脈弓形成術、肺動脈絞扼術を施行された。術後挿管管理をしていたが、5日目にWeaningを進めた際、多呼吸を呈し、胸部レントゲンで左横隔膜挙上を認め、左横隔神経麻痺が疑われた。健側の右がDTF 31%に対して、左は0.2%と能動的な収縮が観察出来ず横隔神経麻痺と診断した。なお同日は変位法での評価は腸管ガスの影響で左横隔膜の描出が出来なかったが、術後14日に腸管ガスの影響がなくなった際、一時的に補助換気を中断し変位法で横隔神経麻痺の診断を確定した。患児は姑息的な治療では心不全が残存していたため、横隔膜縫縮術は行わず長期に人工呼吸器管理となった。繰り返し評価を行ったところ、術後33日目にDTFの増大が確認でき、変位法でも麻痺からの回復が確認できた。【考察とまとめ】横隔神経麻痺が生じうる術後では、可能な限り患者負担を少なくするのが望ましく、患者搬送をせずベッドサイドで行える超音波検査は有用で、さらにDTF法ならば補助換気下でも麻痺の有無の評価が可能である。またこの方法は横隔膜の肋骨付着部である胸壁で行うため腸管ガスの影響を受けない。従来の変位法をDTF法で補完することで、より患者負担を少なくできる。