第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスター

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

ポスター (III-P40)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 2

2017年7月9日(日) 13:00 〜 14:00 ポスターエリア (1F 展示イベントホール)

座長:福島 裕之(慶應義塾大学医学部 小児科)

13:00 〜 14:00

[III-P40-09] 肺高血圧・肺動静脈瘻を合併したCblC型メチルマロン酸血症の1例

梶本 昂宏, 吉澤 弘行, 辻井 信之, 林 環, 嶋 緑倫 (奈良県立医科大学附属病院 小児科)

キーワード:メチルマロン酸血症, 肺高血圧, 肺動静脈瘻

【背景】メチルマロン酸血症はビタミンB12補酵素(cobalamin,Cbl)の代謝異常であり、Cbl C型はホモシスチン尿症を合併する代謝疾患である。今回、Cbl C型メチルマロン酸血症に肺高血圧(PH)・肺動静脈瘻(PAVF)を合併した症例を経験したが、その報告は少なく、代謝異常の治療により肺高血圧が改善した経緯は興味深く、報告する。【症例】2歳女児、体重7.7kg(-3.2SD)。体重増加不良、筋力低下と貧血があり、尿中有機酸分析によりメチルマロン酸血症と診断。ビタミンB12の内服を開始したが、症状の改善なく、その3か月後に突然、多呼吸と著明なチアノーゼ(SpO2 70%)を認めた。CTにてびまん性にスリガラス陰影があり、肺塞栓は認めなかった。肺血流シンチにてmottled pattern、shunt率8.91%、心カテにてRp 13.8 units×m2,mPA(mean)35mmHg、左右肺動脈のコントラストエコー陽性であり、PH・PAVFと診断し、酸素投与とシルデナフィルを開始した。次に、尿中アミノ酸分析を行い、ホモシスチンの増加を認め、ホモシスチン尿症を伴うCbl C型メチルマロン酸血症と診断した。トリメチルグリシンを開始し、血中ホモシステインは137から28.6μmol/Lまで低下した。徐々に低酸素血症は改善し、治療8か月後の心カテにて、Rp 2.23 units×m2,mPA(mean) 15mmHg、肺血流シンチでは肺血流不均衡とshunt率の消失を認めた。PH・PAVFは改善し、酸素・シルデナフィルを中止したが、以後再燃を認めていない。【結語】ホモシステインは肺血管障害を引き起こし、早期治療を行えば、肺血管障害は可逆性であることが示唆された。