10:25 AM - 11:55 AM
[III-S12-04] Interdisciplinary approach to clinical problems of gynecology and obstetrics in women with heart disease
Keywords:妊娠, カウンセリング, チーム医療
先天性心疾患をもつ女性の包括的チーム医療において、産婦人科は欠かすことのできない領域であるが、産婦人科以外を専門にする医師や他の医療従事者にとっては、不慣れな分野ともいえよう。思春期以降の女性特有の問題として、まず、月経があげられる。先天性心疾患を持つ女性の2割に、原発性・続発性無月経を認め、チアノーゼ、手術回数や基礎心疾患の重症度がその危険因子であると知られている。月経発来に必要な女性ホルモンであるエストロゲンは、思春期における骨密度増加に密接に関与しており、この時期の無月経は、将来の骨粗鬆症につながる危険性を持つ。また、抗凝固療法や抗血小板療法による過多月経などの問題もあるが、月経にまつわる問題を思春期の女性から自発的に聴取することは難しい。外来主治医や専任看護師などの果たす役割が大きいと考える。妊娠・出産を通じて、循環動態はダイナミックに変化する。先天性心疾患をもつ多くの女性が安全に出産する一方、一部の病態においては、母児の生命も脅かすハイリスクなものとなるため、妊娠前に情報提供、カウンセリングを行う必要がある。先天性心疾患を持つ女性の妊娠リスク評価法としては、WHOのリスク分類や、ZAHARAスコア、運動耐容能検査などが有用である。妊娠を具体的に考えている女性に対しては、これらのリスク評価に加え、疾患ごとの妊娠予後報告、自施設での経験などを踏まえて、できるだけ具体的な内容のカウンセリングが好ましいと考える。妊娠を望まない女性に対しては、適切な避妊指導も欠かせない。ハイリスク女性が妊娠・出産する際には、産科、循環器科(小児・成人)、麻酔科、心臓外科、遺伝科など関連各科が密接に連携し、他職種とも協力しながら専門的医療を行う必要がある。普段から包括的チーム医療体制を築いておくことが望ましい。