第53回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

教育シンポジウム

教育シンポジウム (III-S14)
ビッグデータとICTの時代の小児循環器診療の近未来

2017年7月9日(日) 08:30 〜 09:30 第5会場 (1F 展示イベントホール Room 5)

座長:太田 邦雄(金沢大学小児科)
座長:三谷 義英(三重大学小児科)

08:30 〜 09:30

[III-S14-01] 循環器領域におけるビッグデータ活用の道標:SS-MIX2や日本循環器学会出力標準フォーマット(SEAMAT)について

中山 雅晴1,2 (1.東北大学大学院 医学系研究科 医学情報学, 2.東北大学病院 メディカルITセンター)

キーワード:ビッグデータ, SSMIX2, SEAMAT

臨床研究の重要性から大規模な診療データの収集が望まれるが、病院情報システムからのデータ転記は容易でない。循環器領域のデータ収集においては、通常の患者基本情報や病名、処方、検体検査に加え、多岐にわたるモダリティからのデータも必要である。こういったデータの収集方法のステップおよび現状の課題について概説する。 病院情報システムはカルテベンダーにより様式が異なり、互換性は担保されていない。そのため、ベンダーに依存しないデータ保存形式として厚生労働省電子的診療情報交換推進事業によるStandardized Structured Medical Information eXchange(SS-MIX)ストレージ形式が定められ、現在はversion2(SS-MIX2)が普及している。2016年度末で630施設に導入され、災害時用バックアップやデータ活用を目的とした多くの事業が行われている。SS-MIX2ストレージは標準化ストレージと拡張ストレージとに分けられ、前者には標準化対応の進んだ病名や検査値、処方などのデータが格納される。一方、拡張ストレージにはそれ以外のデータが格納されるため、コード化やデータ形式の標準化が不十分であり、データの2次利用は困難な状況となっている。循環器分野においては、心電図、心臓超音波、心臓カテーテル検査などが患者の病態を評価する上で必須となるが、SS-MIX2上では拡張ストレージに保存されるため、これらのデータを活用するために必要な標準項目名や形式などを決定する必要があった。そこで、日本循環器学会では2015年度にSS-MIX2拡張ストレージへデータを出力するための標準フォーマットStandard Export datA forMAT(SEAMAT)を定めた。項目策定にあたっては関連学会の協力を得、多くの施設で共通する項目を中心に定めた。今後各企業よりSEAMATに対応した製品が商用化されるが、過去データの活用やコスト対策のためにcsvファイルからの転換プログラムも検討し、多くの臨床データの回収を図っている。