[I-OR16-01] IVC径およびIVC径変化率と体液調節系ホルモンの関係
キーワード:下大静脈, 利尿ホルモン, 体液調節ホルモン
【背景】我々は過去に小児心疾患患者において超音波によるIVC径の呼吸変動率(IVCCI)がCVP推定に有用であることを報告した。成人領域ではIVC径およびIVCCIとANP、BNPの相関が報告され、心不全患者の水分管理の一助となっている。小児でもIVC径およびIVCCIは透析患者などの体液管理に用いられるが、小児心疾患患者における体液調節ホルモンとの検討は少ない。【方法】自発呼吸下での心臓カテーテル検査95例で得られたCVPと超音波でのIVC最大径(IVCmax)とその体表面積補正値(cor IVCmax)、IVCCI、および血漿中ANP、BNP、ADHを比較検討した。【結果】重回帰分析にてlogANPはCVPとの相関はないもののIVCCI、cor IVCmaxと中等度の相関関係を認めた(p<0.01、R=0.56)。またlogBNPはCVP, IVCCIとの相関は認めず、cor IVCmaxと弱い相関を認めた(p<0.01、R=0.37)。ADHはCVP、IVCCI、cor IVCmaxとは相関を認めず、cor IVCmaxとCVPの比(cor IVCmax/CVP)と強く逆相関していた(p=0.016, R=0.76)。【考察】静脈系はコンプライアンスが高く、静脈内血液量増加に対する内圧上昇の変化は小さい。すなわち静脈プール血液量の推定にはCVPは鋭敏でなく、IVC径およびIVCCIの方が循環血液量の過多によるANP、BNP値の変化を反映すると考えられる。またADHはIVCのコンプライアンスと逆相関しており、循環血液量そのものよりも静脈プールの性質に依存している可能性がある。【結語】循環血液量を中心とした病態把握において、超音波を用いたIVC径、IVCCIの測定は単にCVPを推定するということ以上の意義がある。