第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

パネルディスカッション

パネルディスカッション1(I-PD01)
より良いフォンタンの生涯に向けて

2018年7月5日(木) 10:20 〜 11:50 第1会場 (メインホール)

座長:大内 秀雄(国立循環器病研究センター 小児循環器科)
座長:中野 俊秀(福岡市立こども病院 心臓血管外科)

[I-PD01-04] フォンタン手術後遠隔機死亡および合併症の危険因子の検討

笠原 真悟, 小谷 恭弘 (岡山大学 心臓血管外科)

(はじめに)段階的な治療戦略がフォンタン手術の到達率の向上をもたらした一方、長期成績においても多くの問題を抱えるに至った。今回、フォンタン術後の遠隔機死亡と合併症につき、危険因子を検討した。
(対象・方法)1991年から2017年12月に当院でフォンタン手術を行った457例を対象とした。手術時年齢は中央値3(1-52)才、術前経皮酸素飽和度(SpO2)は中央値82(42-88)%、肺動脈圧(PAp)は中央値11(5-25)mmHg、肺動脈係数(PA index)は中央値262(103-672)mm2/m2であった。危険因子としてChoussatのTen Commendmentsをもとに、以下の危険因子を定義した。年齢>20歳、フォンタン術前のPA index<150mm2/m2、肺血管抵抗>4WU、EF<0.6、中等度以上の房室弁逆流、フォンタン手術時の肺動脈形成術、Heterotaxy、および8項目以上の危険因子の合計数である。
(結果)全症例の生存率は1年97.2%、5年93.2%、10年93.2%、20年91.9%であった。死亡の危険因子としては、単変量解析ではHeterotaxy、16mmHg以上の肺動脈圧、重度房室弁逆流が、多変量解析では16mmHg以上の肺動脈圧、フォンタン手術時の肺動脈形成、重度房室弁逆流および複数の危険因子を有することが示された。タンパク漏出性胃腸症(PLE)は23例に発症し、6例が死亡した。フォンタン術前のPA indexが200未満のPLE発症率は10.1%と、200以上の患者の5.2%に比べ、優位に高かった。単変量解析ではこの術後のPLEの危険因子は術前のPA index、肺動脈圧、肺血管抵抗や心機能、弁逆流などいずれも認めなかったが、多変量解析では術前の肺動脈圧、フォンタン手術時の肺動脈形成、重度房室弁逆流、および複数の危険因子を有することが示され、死亡原因と同じ因子を持つことが判明した。
(結語)フォンタン術後の脂肪における危険因子について検討し、PLEの発症は有意な関連性を認めた。ここの因子とともに複数の因子により危険性が増加することも示された。