第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

会長要望演題

会長要望演題02(I-YB02)
小児循環器領域の社会貢献・国際協力

2018年7月5日(木) 17:30 〜 18:30 第5会場 (304)

座長:城戸 佐知子(兵庫県立こども病院 循環器内科)
座長:檜垣 高史(愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学)

[I-YB02-01] 小児循環器領域における小児慢性特定疾病児童等に対する自立支援・移行期支援の重要性

檜垣 高史1,2, 高田 秀実1,2, 宮田 豊寿2, 森谷 友造2, 太田 雅明2, 落合 亮太3, 三平 元4, 掛江 直子5, 石田 也寸志2, 大藤 佳子2, 石井: 榮一1,2 (1.愛媛大学大学院医学系研究科 地域小児・周産期学, 2.愛媛大学大学院医学系研究科 小児科学, 3.横浜市立大学学術院医学群医学研究科看護学専攻がん・先端成人看護学, 4.ひがしまつど小児科, 5.国立成育医療研究センター臨床研究開発センター小児慢性特定疾病情報室/生命倫理研究室)

キーワード:自立支援, 移行支援, 小児慢性特定疾病

【背景および目的】先天性心疾患患児が、社会生活に参加する機会が多くなったが、幼稚園から小学校、中学、高校、そして大学へと進学し、就職や結婚へと、社会的に自立していくためには多くのハードルが存在する。平成27年1月より小児慢性特定疾病児童等自立支援事業が実施され、都道府県、指定都市、中核市は、小児慢性特定疾病児童等の自立にむけて、小児慢性特定疾病児童等自立支援員を配置し、相談支援事業を展開している。厚生労働省科学研究費「小児慢性特定疾病児童等自立支援員による相談支援に関する研究」(研究代表者 檜垣)の一環として、疾病をもつ患児および家族への支援を実現するために、現在の状況や困難、希望するサービスや支援などについて調査した。【対象と方法】愛媛県内の小児慢性特定疾病医療費受給者1263名全員に自記式調査票を用いたアンケートを行い各疾患群により分析した。【結果】アンケート回収率は18.4%で、232人から回答を得た。小慢以外の社会保障制度の利用率は療育手帳13.0%、身体障害者手帳34.8%であった。就学者の内訳は、通常学級83%、特別支援学級9%、特別支援学校8%、集団生活における困難、心配事あり47%、疾病によるきょうだいへの影響あり37%、将来の就職・経済的不安13%であった。全体としては、患者および患者家族が希望するサービスや支援は、緊急時の診療体制はもちろん、悩みや心配事の相談支援、学校などでの疾患理解や学習支援、経済支援、就職支援などの希望が多かった。【考察および結語】患者および家族が求めている支援を明確にして、支援を必要としている対象者を適切にリクルートして、地域の社会資源において、多職種が連携して実際の支援につなぐ地域の自立支援システム構築が重要である。さらに成人期への移行には自立支援、就労支援ひいては学習支援が必須である。