第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

術後遠隔期・合併症・発達

一般口演23(II-OR23)
術後遠隔期・合併症・発達 2

2018年7月6日(金) 14:10 〜 15:00 第3会場 (302)

座長:笠原 真悟(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 心臓血管外科)
座長:田中 敏克(兵庫県立こども病院 循環器内科)

[II-OR23-04] 経皮的肺動脈弁形成術を施行した純型肺動脈閉鎖/重症肺動脈弁狭窄の長期予後

河本 敦, 森 秀洋, 上田 和利, 荻野 佳代, 林 知宏, 脇 研自, 新垣 義夫 (倉敷中央病院)

キーワード:PA/IVS, critical PS, PTPV

【背景】PTPVのみでフォローしているPA/IVS、critical PSの遠隔期についての報告は少ない。【目的】PTPVのみでフォローしているPA/IVS、critical PSの長期予後を検討すること。【方法】対象は2002~2016年に当院に入院したPA/IVS、critical PS 17例。PTPVのみでフォローしているP群と、PTPV後に外科的介入を要したS群の2群に分け、以下の項目を後方視的に比較検討した。在胎週数、出生体重、PTPV施行時の日齢・%TV・%PV・RVp/LVp、観察期間と遠隔期の心電図P波の電位(mV)・PS peak velocity(m/s)・RAP(mmHg)・CVP(mmHg)。検定はMann-Whitney U testを使用し、p<0.05を有意とした。【結果】対象17例中、PA/IVSが9例、critical PSが8例であった。内、PTPVを施行した症例が10例で、全例生存していた。P群は6例(PA/IVS 4例、critical PS 2例)であった。S群は4例(PA/IVS 3例、critical PS 1例)で、PTPV後にTV plasty+RVOTR 2例、RVOTR とRV overhaul+PAV commissurotomy が各1例施行された。S群に超早産児・超低出生体重児が1例含まれ、それを除くと在胎週数、出生体重、PTPV時日齢に両群に差はなかった。両群にPTPV時の%PV、RVp/LVpに差はなく、%TVはS群で有意に低値であった(94.9%N(81.3-116%N); 54.6%N(46-82.5%N), p =0.03)。両群に観察期間に差はなく、中央値9.7年(2.8-14.8)であった。遠隔期のP波電位、PA peak velocity、PR(全例moderate)で差はなかった。RAP(2 mmHg; 5 mmHg, p=0.02)、 CVP(2 mmHg; 7.5 mmHg, p=0.02)はP群で有意に低値であった。【考察】両群ともに死亡例はなく、予後は良好である。PS/PRは両群に差はなかった。RAP、CVPはP群で有意に低く、心電図上ではP波電位の差はなかった。S群の方が、%TVが低く、遠隔期に問題点となると考えられた。【結論】三尖弁輪径が 80%以下の症例はPTPV後外科的介入が必要で、遠隔期も右房圧が高く不整脈や臓器うっ血が問題となる可能性がある。