[II-OR23-03] Norwood手術を経たFontan患者の治療と心肺循環
Keywords:左心低形成症候群, Fontan, Norwood
【背景と目的】左心低形成症候群及びその類縁疾患(HLHS群)に対し、我々はNorwood+右室-肺動脈shuntを施行しているが、Fontanに至るまでは血行動態は不安定で、注意深いstrategyを必要としている。HLHS群のFontanに到達するまでの治療と到達後の血行動態について検討した。【方法】対象は2006年以降の出生で、2017年9月までに術後定期の心臓カテーテル検査を受けたFontan患者156人。HLHS群34人と非HLHS群122人の2群に分けて、治療歴、Fontan後の心肺循環の指標を比較した。【結果】HLHS群で、Glenn施行年齢(0.9 vs. 1.3 yrs: p=0.0038)及びFontan施行年齢(2.1 vs. 2.7 yrs: )は、いずれも低かった。Fenestrationの施行率は両群で同等であった(35% vs. 37%)。HLHS群の方が経皮的血管形成術は多く施行されており(61% vs. 31%: p=0.0011)、診断カテーテル回数もHLHS群の方が多かった(5.2 vs. 4.4回: p=0.017)。しかし内服治療では、両群間で血管拡張剤/アンギオテンシンII受容体拮抗剤の使用率(85% vs. 85%)及びenaraprilの使用量(0.21 vs. 0.20 mg/kg)、β遮断薬の使用率(61% vs. 44%)及びcarvedilolの使用量(0.39 vs. 0.44 mg/kg)は有意差がなかった。心機能では、HLHS群の方が収縮末期容積は大きく(31 vs. 26 ml/m2: p=0.036)、駆出率は低かった(52 vs. 56%: p=0.023)。肺循環ではHLHS群の方が、肺動脈楔入圧が高い例が多く(≧8 mmHg: 43% vs. 23%, p=0.025)、肺動脈係数が小さい例が多かった(<145 mm2/m2: 25% vs. 6%, p=0.012)。大動脈の酸素飽和度が低い例もHLHS群の方が多かった(<86%: 20% vs. 4%, p=0.0049)。【結語】Fontanに到達できたHLHS群は非HLHS群に比べ、より多くのカテーテル評価、治療を受けていたが、薬物療法は非HLHS群と差はなかった。HLHS群はFontan到達後の心機能が非HLHS群に比べ劣っていた。HLHS群ではFontan前から抗心不全療法をより強化した方が良いのではないか。