[II-PD05-04] 小児心臓再同期療法におけるスペックルトラッキング法を用いたアプローチ
キーワード:スペックルトラッキング, 心臓再同期療法, 心室同期不全
【はじめに】心臓再同期療法(CRT)は、成人の心不全治療ではほぼ確立された治療法となっている。一方、小児では、体格上の制限から開胸手術で行う侵襲度の高いものとなる上、心外膜留置リードは経静脈リードのような多極構造は有さないため、留置位置の決定は重要である。本報告では、心臓超音波法、特にスペックルトラッキング法(STI)による留置位置決定の有用性について検討する。【症例1】DORV、severe PS、ASDの幼児症例。心内修復による左室流出路狭窄が危惧され二心室修復不可能と判断され、Glenn手術+ASD拡大術+VSD拡大術を施行。Glenn術後は徐々に完全右脚ブロック、心拡大、心機能低下を来し、QRSd=160msecと有意に延長した。TCPC術前精査で心室同期不全を認めた。32か月時にTCPCと同時にCRTを施行。STIにより同期不全によるseptal flushの改善を確認した。【症例2】先天性完全房室ブロック、拡張型心筋症の幼児症例。胎児期よりⅢ度房室ブロック、心機能低下を指摘されていた。日齢4にsingle chamber pacemaker植込みVVI pacingを実施。心機能に改善なく、生後9か月時にDDD pacingアップグレードを実施。その後も心機能は低下し続け、QRSd=140msと延長し、心室同期不全および拡張型心筋症と診断された。20か月時、両室心外膜リード留置によるCRTを実施。心機能は改善した。STIによりglobal functionとseptal flushの改善を確認した。【考察】STIを用いた評価に基づくCRTによる至適ペーシング位置決定の有効性が示された2症例を経験した。小児症例や先天性心疾患症例では、至適ペーシング位置の検索は困難であるが、STIは有効な評価方法である。