[III-MOR14-05] 冠動脈起始異常の3手術例
Keywords:冠動脈起始異常, 壁内走行, modified unroofing法
【背景】冠動脈起始異常は稀な疾患であるが、若年者の突然死の原因の上位であり、鑑別として重要な疾患の一つである。 【目的】冠動脈起始異常の臨床像を明らかにすること。 【対象】当院で経験した左冠動脈閉鎖症の生後1ヵ月・男児、左冠動脈無冠動脈洞起始症の9歳・男児、左冠動脈右冠動脈起始症の13歳・女児の3例を対象とした。 【結果】左冠動脈閉鎖症の乳児が哺乳不良を伴う左心不全で発症し、残りの2例はいずれもCPAでの発症であった。また3例とも造影CTを行ったが、冠動脈の大動脈壁内走行に関しては確定診断に至ることが出来なかった。しかし、左冠動脈起始異常の2例では大動脈壁内走行に注目することで、心エコー検査にて確定診断を得ることが可能であった。手術治療は、左冠動脈閉鎖症例では、大動脈壁内走行がはっきりとしないため、大伏在静脈による冠動脈バイパス術を施行した。大動脈壁内走行を伴う左冠動脈起始異常の2例はmodified unroofing法を施行した。左冠動脈閉鎖症例を術後37PODで失ったが、その他2例は、術後経過は良好であり、左冠動脈主幹部の残存病変も認めず、症状なく外来にて経過観察中である。 【考察】冠動脈起始異常の3例を経験した。若年者の失神、原因不明の心不全など認めた場合は、臨床症状、エコー、血管造影、造影CTなどの画像所見などから総合的に診断を行う必要がある。左冠動脈起始異常の診断に関しては、造影CTは有用であったが、大動脈壁内走行に関しては、造影CTのみでの確定診断は難しく、造影CTに心エコー検査を加える事が確定診断を得るためには特に有効であった。