第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

一般口演

肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患

一般口演31(III-OR31)
肺循環・肺高血圧・呼吸器疾患 2

2018年7月7日(土) 09:20 〜 10:20 第3会場 (302)

座長:高橋 信(岩手医科大学循環器医療センター 循環器小児科)
座長:澤田 博文(三重大学医学部医学系研究科 小児科学/麻酔集中治療学)

[III-OR31-06] 波動解析法を用いた肺動脈閉塞度の新たな非侵襲的評価方法の開発

片山 博視1, 根本 慎太郎2, 宇津野 秀夫3, 岸 勘太1, 尾崎 智康1, 小田中 豊1, 蘆田 温子1, 榁木 健太3 (1.大阪医科大学 小児科, 2.大阪医科大学 小児心臓血管外科, 3.関西大学 システム理工学部)

キーワード:肺高血圧, 位相角, 血管閉塞度

【背景】肺高血圧の診療において肺小動脈の閉塞性病変の定量的評価は重要だが確立された方法はない。理論上、波動現象の2変数(圧力と流速)の位相差は動脈脈管の末梢の閉塞病変を反映する。我々は肺循環を波動現象としてとらえ、波動現象の位相差により、肺小動脈の閉塞度の新しい評価方法を開発することを目的に研究を進めてきた。【目的】(1)位相角θが臨床上有用か否かを心臓カテーテル検査における圧―流速同時測定ワイヤーを用いて検討する。(2)位相角θを超音波診断装置により非侵襲的に評価可能か否かを検討する。【方法】(1)小児21例の心臓カテーテル検査時に圧―流速同時測定ワイヤーにより位相角θを算出し、従来の指標と比較検討した。(2)肺動脈のシミュレーション回路で、圧力センサーによる圧力波形とレーザー変位計の血管径の変位波形を比較検討した。さらに末梢側を完全閉塞させたシミュレーション回路でカテーテルによる圧ー流速から算出された位相角と超音波診断装置による血管径ー流速から算出された位相角を比較した。【結果】(1)カテーテルで得られた位相角θは、平均肺動脈圧(y = -0.2188x + 20.283、r=0.40)、肺血管抵抗(y = 1.2475e-0.017x、r=0.48)と負の相関関係を認めた。またTAPVC術後の肺静脈狭窄や18トリソミー合併の肺高血圧症例では従来の指標より高い閉塞度を示した。(2)シミュレーション回路での圧波形と血管径の変位波形は完全一致した。また完全閉塞させたシミュレーション回路内でのカテーテルの圧力-流速波形と超音波診断装置の血管径変位-流速波形の比較においてもほぼ一致した。【考察】(1)本指標は肺動脈の閉塞度を反映し、さらに肺血管抵抗等の従来の指標では表現し得なかった閉塞度を表している可能性がある。(2)本指標は超音波診断装置を用いて非侵襲的に評価できる可能性がある。【結語】本指標は肺血管閉塞度の新たな指標になり得る。