[P04-04] 少年野球選手に施行した心臓超音波検診の報告
キーワード:突然死, 心臓超音波検査, 検診
【背景】学校管理下の突然死は減少傾向ではあるが現在でも10万人対0.21に発生しておりうち半数が運動中・後に起こっている。学童に発生した心停止例の分析(Mitani Y, et al. Circ J 2014;78:701-7)では半数が事前に心臓病の診断が下されていなかった。全学童を対象として心電図検診が行われる本邦と異なり欧米では競争的スポーツを開始する前の学童を対象に心臓検診が行われることが多い。【目的】スポーツを常習している学童に対して心臓超音波検査により心疾患のスクリーニングを行うことが学童の運動中突然死を予防する可能性があるか評価する。【方法】整形外科医師らにより企画、運営されていた超音波検査を併用した野球肘検診の機会に心臓超音波検査のブースを設置、心臓超音波検査を行った。検査は小児循環器専門医および超音波技師が行い、異常所見を認めた場合、医療機関を紹介した。【結果】5年間、計9回の検診でのべ2460名の心臓超音波検査を行った。異常所見を認め医療機関を紹介したのは計38名(1.5%)であった。紹介内容のうちわけは大動脈弁閉鎖不全11名、僧帽弁閉鎖不全10名、大動脈二尖弁5名、心房中隔欠損3名、冠動脈起始異常疑い3名、冠動静脈ろう2名、心室性期外収縮2名、左室心筋緻密化障害疑い1名、肺高血圧疑い1名であった。治療を要した症例は肺動脈性肺高血圧症と診断した1例であった。【考察】肺動脈性肺高血圧症の1例においては運動に関連した心臓突然死を予防した可能性があると思われた。超音波を用いた検診は軽度ではあるが無視できない房室弁閉鎖不全を発見する契機となり精査対象範囲の設定など今後の検討を要すると思われた。当初冠動脈起始異常の発見を想定していたが現在までに確定診断に至った症例はない。検査時間に制限がある状況などが関与していると考えられる。