第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

電気生理学・不整脈

ポスターセッション19(P19)
電気生理学・不整脈 1

2018年7月5日(木) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:高橋 一浩(木沢記念病院 小児科)

[P19-04] 著明な洞機能不全を呈したMECP2遺伝子異常がみられたRett 症候群の男児例

福岡 哲哉, 塩田 勉 (静岡済生会総合病院 小児科)

キーワード:洞機能不全, Rett症候群, MECP2

著明な洞機能不全を伴い、それが突然死の原因となり得たと思われたRett syndromeの兄弟例を経験した。症例は第4子(四男)在胎38週0日 2438gで近医産科で出生。APR 6/10 生後数時間より頻回の無呼吸とSpO2の低下を認め、当院NICUに搬送入院。酸素投与やHFNC使用で治療を行うも無呼吸発作完全に消失せず、日齢35日経鼻酸素開始。脳波検査にて右優位の棘波ありCBZ内服開始。日齢44日HOT導入にて退院。生後2か月半で呼吸のふらつきと徐脈傾向のためホルター検査施行するも異常なし。その後も呼吸不全は継続し、PCO2の上昇が徐々に見られ始めたため12MでNPPV導入。精査していた遺伝子異常が13Mで判明しMECP2遺伝子のヘミ接合性ミスセンス変異が同定され、Rett症候群男児例と診断した。16MよりHR40台の徐脈傾向が頻回に見られはじめ進行したため、ホルター心電図を再検したところ最大6.0秒の洞停止が頻回に記録され洞機能不全症候群と診断した。確認できた範囲ではQTPは認めなかった。ペースメーカーの埋込みを検討中に17Mで突然死した。 家族内で第2子(男児)も無呼吸および徐脈、けいれん発作があり2歳で原因不明の突然死をしており、Rett症候群であったと推測された。両親の遺伝子変異は認められず、母親の性腺モザイクが推測された。MECP2は自律神経に関与することがわかっており、副交感神経の過剰な反応が徐脈性不整脈を誘発することなども言われている。現在までに当疾患で解明されてきた原因および機序も含めて考察する。