第54回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

画像診断

ポスターセッション35(P35)
画像診断 2

2018年7月6日(金) 18:00 〜 19:00 ポスター会場 (311+312+313+315)

座長:神山 浩(日本大学医学部 医学教育センター)

[P35-03] 3Dプリンターによる立体モデルで心室中隔描出を試みた,多発性心室中隔欠損の2例

鳥塚 大介, 青木 正哉, 芳村 直樹 (富山大学 大学院医学薬学研究部 外科学(呼吸・循環・総合外科)講座)

キーワード:3Dプリンター, 多発性心室中隔欠損, 3Dプリンティング

【はじめに】 先天性心疾患は立体構築が複雑で患者ごとに異なっているため,病態,解剖の把握が困難な場合がある.従来は医師の想像によって2次元の画像から構築されていた3次元構造は,画像処理や機器の発達によりコンピューター画面上で3次元構築することが可能となった.さらに,近年3Dプリンターの普及によりCTやMRI画像から3Dモデルを比較的容易に作成できるようになり,実物として3次元画像を手元に得られるようになった.今回,当院で3Dモデルを作成し心室中隔の描出を試みた多発性心室中隔欠損の2症例を紹介する. 【方法】 0.6mmスライスの造影CTのDICOM画像をMaterialise社で3Dモデル化した. 【症例1】 4歳女児,出生直後よりチアノーゼを認め,完全大血管転位症,多発性心室中隔欠損と診断された.心室中隔が柵状で二心室修復は困難と判断し,生後6ヶ月でDKS,BDGを施行した.1歳10ヶ月でfenestrated TCPCを施行し術後経過良好で外来通院中である. 3Dモデルでの心室中隔は非常に疎で,2心室修復が困難であることが容易に理解できるものであった. 【症例2】 5歳男児,出生後心雑音を指摘され,両大血管右室起始,肺動脈弁狭窄,多発性心室中隔欠損と診断された.4歳時に心内修復術を施行したが,1年後のカテーテル検査で遺残心室中隔欠損および右室内狭窄を認め再手術となった. 3Dモデルでは右室内狭窄を確認することはできなかったが,前回手術のパッチの遺残短絡は確認することができ,術中所見とも合致していた. 【考察】 3Dモデルの作成は,画像処理の進歩や3Dプリンターの普及により身近になってきたが,心室内構造,特に心室中隔の描出はまだ困難である.今後,症例を蓄積し,3Dモデルの多発性心室中隔欠損に対する有用性について客観的な評価を行っていきたい.