[I-OR12-02] 本邦における胎児期発症心筋症の病型別診断と予後
Keywords:胎児, 心筋症, 予後
背景:胎児期発症心筋症は予後不良な疾患である。海外の報告でも病型による予後は報告ごとに異なり、その臨床像はいまだ明らかではない。目的:胎児期発症心筋症の本邦における臨床像を明らかにし、心筋症病型による予後の比較を行い、リスク因子を抽出すること。方法:全国の主要131施設へアンケート調査を行い、同意の得られた20施設に2次調査を行った。 2010-2016年の6年間での胎児期心筋症症例について、母体情報、胎児基礎疾患情報、胎児期超音波所見、出生後の超音波所見、予後についての情報を収集し、心筋症病型の分類を行い、死亡リスク因子の抽出を行った。結果:胎児心筋症症例38例について情報が得られ、内訳は拡張型心筋症(DCM)群15例、心筋緻密化障害(LVNC)群16例、肥大型心筋症(HCM)群7例であった。LVNC群の50%に家族歴を認めた。LVNC群の半数は先天性心疾患合併例であり、エプスタイン病が内50%を占めた。胎内診断と出生後診断が一致するのは全体の60%と低く、中でもLVNC群の診断が困難であると考えられた。死亡例は15例(39.4%)であり、胎児死亡は3例、出生後早期死亡は12例であった。DCM群が最も予後不良であった。胎児心エコー所見では、僧帽弁閉鎖不全の合併がDCM群で最も多かった。胎児期DCM例(オッズ比18.7 p=0.026)と、胎児期cardiovascular profile score 6点以下(オッズ比26.9 p=0.026)がリスク因子であった。結語:出生前に診断がつかない、または出生後に診断が変更された例が多く、特にLVNC群の診断が難しいと考えられた。そのため、胎児期から出生後まで長期の観察が重要と考えられた。さらに胎児期の心筋症では病型別に、合併疾患や予後が異なり、今後の診断の一助となり得ると考えた。