[I-P35-03] 当科において経験したリウマチ熱の3例
キーワード:リウマチ熱, 溶連菌感染症, 心炎
【背景】リウマチ熱(RF)は、A群β溶血性連鎖球菌(GAS)の感染後に発症する発熱、心炎、関節炎、紅斑など多彩な症状をきたす非化膿性疾患であり後遺症として弁膜症きたす。当科では9年前の1例(症例3)の後長らくみられなかったが、最近2年間に2例を経験したので若干の考察を交えて報告する。【症例1】2歳男児。前医で迅速検査GAS陽性のため抗菌薬点滴投与されたが解熱せず、発熱3日目に発疹を認め発熱5日目に当科を紹介受診した。受診時体温40.5 ℃、川崎病主要症状を 6項目認め、川崎病として治療(IVIG, Flurbiprofen)を開始した。入院時CRP 19.2mg/dL、心エコーで心嚢液貯留(全周性2mm)と僧帽弁逆流(軽度)を認め、RF診断基準も満たし併発例と診断した。再燃を認め2nd line(IVIG, Steroid pulse, Ulinastatin)を施行し軽快した。入院21日目に退院し川崎病の治療に併せて抗菌薬少量長期投与を行った。【症例2】9歳女児。発熱5日間と両側足関節痛を主訴に当科を受診した。来院時体温38.5℃、右足関節の疼痛と腫脹(関節炎)を認めた。CRP 13.82mg/dL、ASO 350U/mlでGAS感染が証明され、心エコーでは僧帽弁逆流(軽度)を認めた。RFと診断し治療(抗菌薬, Steroid, Naproxen)を開始した。入院31日目に退院し抗菌薬少量長期投与を継続した。【症例3】13歳女児。約10日間持続する股関節等の多関節痛および歩行困難、発熱により当科を紹介受診した。来院時CRP 3.68mg/dL、ASO 495U/mlでGAS感染が証明され、心エコーで心外膜の輝度上昇を認めた。RFと診断し治療(抗菌薬, Steroid, Aspirin)を行い入院18日目に退院した。退院後は抗菌薬少量長期投与を行った。【考察】早期診断、早期治療によりRFは稀な疾患となったが、近年の抗菌薬適正使用推進と抗菌薬使用機会の減少によりRFは再度増加が見られ、当科の経験と一致する。熱性疾患の診療においては川崎病や膠原病のみならず、GAS感染症やRFを見落とさない診療が重要である。