第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

ポスターセッション

術後遠隔期・合併症・発達

ポスターセッション41(II-P41)
術後遠隔期・合併症・発達 8

2019年6月28日(金) 17:30 〜 18:30 ポスター会場 (大ホールB)

座長:塩野 淳子(茨城県立こども病院 小児循環器科)

[II-P41-03] 大動脈縮窄・大動脈弓離断複合における左室流出路狭窄の変化と治療経過

寺師 英子, 倉岡 彩子, 児玉 祥彦, 石川 友一, 中村 真, 佐川 浩一, 石川 司朗 (福岡市立こども病院 循環器科)

キーワード:大動脈縮窄, 大動脈離断, 左室流出路狭窄

【背景】大動脈縮窄(CoA)・大動脈弓離断複合(IAA)には左室流出路狭窄(LVOTS)を合併することがあり、根治術後に再手術を必要とする症例がある。一方でLVOTの成長がみられる症例もあり、新生児期の術式決定に難渋することも経験する。【目的】心室中隔欠損を伴うCoA・IAA(CoA/IAA complex)において、新生児期~術後遠隔期にかけてLVOTの変化を明らかにすること。【対象と方法】2007年~2018年に当院で手術を施行した、CoA/IAA complexの103例を対象とし、術前・術後に心エコー検査で観察したLVOT形態をその後の治療経過により比較した。大動脈弁とLVOTのうち小さい方を今回のLVOT径とした。【結果】CoA69例、IAA34例(typeA21例・typeB13例)で、最終評価時の術式がarch修復+VSD閉鎖の群(A群)が82例、YasuiまたはRoss-Konno手術やLVOTに介入した群(B群)が19例だった。根治術前に2例が死亡した。B群の中でarch修復+VSD閉鎖術後にLVOTの再介入を要したのは10例だった。両側肺動脈絞扼術を先行したのは19例であった。初回心内修復術時日齢は平均109.6±216.7日、手術時体重は4.12±2.99kgだった。術前のLVOT径(Zスコア)は平均-4.23±3.13であり、B群はA群と比較して有意に小さく(A:-3.56vsB:-7.18 p<0.001)、二尖弁が有意に多かった(30.5%vs57.9% p=0.029)。LVOTSの再介入を要した10例では、A群と比較して新生児期のLVOTに有意差はなかった(-4.67vs-3.59 p=0.196)ものの、再手術時のLVOT径が有意に小さかった(-3.27vs-1.35 p=0.005)。両側肺動脈絞扼術を施行した19例は新生児期にLVOTSが懸念されたが、最終的にA群が7例(A2群)、B群が12例(B2群)であった。A2群のLVOT径は新生児期・心内修復術時・最終評価時で-4.353→-3.284→-0.982と成長が見られたが、B2群では新生児期・心内修復時のLVOTが-9.23→-8.04と小さいままであった。【まとめ】LVOT径の経時的な変化を観察することが適切な術式選択につながる可能性がある。