[III-P89-02] 小児に対する心血管病予防を目的とした新しい検診システムの提案
キーワード:心血管病, 生活習慣病予防, 心臓検診
【背景】少子超高齢化が進む我が国では、がん対策と心血管病(CVD)対策が極めて重要である。学校心臓検診は、児童生徒の突然死予防に貢献してきたが、今後は将来のCVD予防も含めた包括的な検診システムへ発展させることが望ましい。【目的】将来のCVD予防の視点を取り入れた新しいシステムを構築すること。【方法】心臓検診にCVD予防の内容が加味されている実例を収集する。小児の心血管病予防関連のガイドラインや論文をレビューして、新システムのプロトタイプを作成する。新システムに必要だが、小児のカットオフ値が未定の項目は、既存のデータベースを利用して値を設定する。【結果】東海以西と北陸地区の会員で構成される若年者心疾患・生活習慣病対策協議会(若心協)は、以前からこの問題に取り組み、小児生活習慣病予防検診の法定化に向けた要望書を関係省庁に提出している。福岡市医師会作成の学校心臓病精密検査成績表には生活習慣病のスペースが設けられており、CDVと関連が深い小児肥満症や小児Metabolic syndromeの評価が可能となっている。最近成人で増加が問題となり、大血管症のハイリスク群である2型糖尿病(T2DM)だが、小児ではHbA1cのカットオフ値が設定されていない。都内A区の13-16歳の8652名の酵素法によるHbA1cの分析から、97th値である5.6%をHbA1c高値のカットオフ値に設定した。【考察】将来のCVD予防には、学童心臓検診の二次健診で肥満を有する者には、ウエスト周囲長、血圧測定い、腹部肥満や高血圧を有する者は三次検診対象者として、血糖、HbA1c、non-HDL-Cの評価も行い、早期からCVD予防を目的とした介入を行うべきである。【結論】現行の学童心臓検診に、肥満者に対するウエスト周囲長測定と血圧測定を加えることにより、将来のCVD予防も見据えた、より包括的なシステムになりうると考えられる。