第55回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

シンポジウム

シンポジウム11(III-S11)
学校検診で心臓突然死をどのように予防できるか、突然死に至った例の学校検診での所見

2019年6月29日(土) 10:10 〜 11:40 第3会場 (大ホールC)

座長:住友 直方(埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)
座長:三谷 義英(三重大学病院 小児科)

[III-S11-02] 突然死もしくは突然死から蘇生された症例の検討

住友 直方 (埼玉医科大学国際医療センター 小児心臓科)

キーワード:突然死, 自動体外式除細動器, 植え込み型除細動器

近年の自動体外式除細動器(AED)の普及により、若年者の院外心停止蘇生例が増加し、突然死例は減少している。若年者の突然死の原因としては、先天性心疾患術後、肥大型心筋症(HCM)、QT延長症候群(LQT)、拡張型心筋症、心筋炎、特発性心室細動(IVF)、カテコラミン誘発多形性心室頻拍(CPVT)、WPW症候群(WPW)、肺血管性肺高血圧、冠動脈起始異常などが多いことがわかってきた。特に運動に関連する突然死の原因としては先天性心疾患術後、HCM、LQT、WPW、IVF、冠動脈起始異常などが多く、また心臓震盪も少なからず報告されている。これ以外に運動誘発性心室頻拍、心房頻拍、心房粗動なども失神を起こし突然死を起こしうる不整脈である。学校心臓検診により、WPW、LQTなど心電図で容易に発見できる疾患は増加しており、適切な管理が行われているが、運動中にのみ誘発される不整脈や、安静時心電図で発見できない心疾患も存在する。このため、失神、心停止を起こした場合には速やかに心肺蘇生を開始し、AEDを装着することが重要である。先天性心疾患術後、WPWではカテーテルアブレーションが有効な治療法となる。LQT、CPVTでは薬物治療が有効であり、薬物療法でコントロールが困難な場合には植込み型除細動器(ICD)が有用である。IVFもICDが有用である。冠動脈起始異常は手術が最も有効な治療法である。