[III-YB04-04] 機能的単心室症におけるペースメーカー植込み ―心室ペーシング頻度とペーシング部位別の予後の違い―
キーワード:単心室, ペースメーカー, 予後
【背景】機能的単心室(SV)患者における、徐脈性不整脈とペースメーカー(PM)植え込みは予後不良因子の一つである。心室ペーシング(VP)に伴う心室dyssynchronyによる心室機能低下が一因と考えられているが、詳細は不明である。【目的】PM植込み後のSV患者の予後とVPの関連を明らかにすること。【方法】福岡市立こども病院にてPM植込みを施行したSV患者に関して、データベースおよび診療録を後ろ向きに解析した。重篤な合併症例を除外し、VP頻度から以下の3群に分類した。A群:心房リードのみ(VPなし)(11例)、B群:心室リードはあるがVP頻度の低い群(VP率<50%)(12例)、C群:心室リードがありVP頻度の高い群(VP率≧50%)(15例)。C群はリード留置部位からC1:心尖部群(7例)とC2:心尖部以外群(8例)に分類した。【結果】PM植込み年齢の中央値は3.5歳。リードは全例で心外膜リードであった。PM植込み術後の生存率は、A群とB群の100%に対し、C群では10年生存率58.9%、20年生存率39.3%と有意に不良であり(p<0.05)、死因は心室機能不全2例、ペーシング不全1例、出血性梗塞1例、肝硬変1例、脳症1例であった。各群のFontan術後症例間で、心室駆出率に有意差はなかったが、BNPの中央値はA群11.7pg/ml、B群20.3pg/ml、C群28.4pg/mlと有意差を認めた(p<0.05)。C1とC2の群間で、生存率と心室駆出率に有意差はなかったが、BNPの中央値はC1群 27.0pg/ml、C2群 82.8pg/mlと有意差を認めた(p<0.05)。【考察】PM植込みの術後生存率はVP頻度の高い群で不良であり、VPによる心室dyssynchronyが関与すると考えられた。VPを要する症例では、心外膜リード留置部位を心尖部とすることが適切である。