[III-YB04-03] フォンタン循環におけるsensed atrioventricular intervalの適正化
Keywords:Fontan, sensed atrioventricular interval, dual chamber pacing
【目的】 フォンタン患者のAVI適正化の重要性と注意点を明らかにすること。【方法】 Sensed AVI (sAVI)適正化の際、極端な設定を要したフォンタン患者2例を後方視的に検討した。sAVI適正化は、心エコーで心房流入血流を描出し、石川法を用いて設定した。sAVI適正化前後で、房室間非同期を示唆する拡張期充満時間/心周期 (%DFT、正常値>40%)を測定した。【結果】 (症例1) 18歳女、心房正位、フォンタン術後。sAVI設定は当初150 msで、%DFT 34%であった。適正sAVI 25 msに変更後、%DFT 52%と改善した。体表面心電図でのPV interval 180 msで、sAVIとの間には155 msの時差がみられた。12誘導心電図P波形より自己心房調律は右房起源で、胸部レントゲンより心房心筋電極留置位置は左心耳であった。PV interval-sAVI間の時差は、右房-左心耳間の伝導時間であった。(症例2) 26歳男、左側相同心、フォンタン術後。sAVI設定は当初120msで、%DFT 38%、拡張期房室弁逆流が観察された。適正sAVI 30 msに変更後、%DFT 58%と改善し、拡張期房室弁逆流は消失した。体表面心電図でのPV interval 140 msで、sAVIとの間には110 msの時差がみられた。12誘導心電図P波形から自己心房調律は右側心房下方起源で、胸部レントゲンより心房心筋電極留置位置は左側心耳であった。PV interval-sAVI間の時差は、右房下方-左心耳間の伝導時間であった。【考察】 CHDの適正sAVIの設定は、一般成人と大きく異なることがある。CHDでは、自己心房調律が必ずしも解剖学的右房に存在しているわけではないこと、心房電極が自己心房調律と同じ心房に留置されていない場合があること、手術既往や心房負荷により心房内伝導時間が長いことがその理由に挙げられる。【結論】 CHDでは、自己心房調律起源・心筋電極位置・心房伝導時間を、12誘導心電図・胸部レントゲンを用いて確認した上で、適正なsAVIを決定する。